屋根の守り神「Chiwen」とは?古代中国建築の不思議な獣
古代の中国建築の屋根の上で、今もじっと建物を見守っているとされる神話の存在がいます。その名は「Chiwen(チーウェン)」。力のシンボルであり、邪気を払うと信じられてきた、この屋根の守り神について紹介します。
Chiwen(チーウェン)ってどんな存在?
Chiwen は、古代の中国建築の屋根のてっぺんに据えられた神話上の獣です。建物の頂点にちょこんと乗るように配置され、見上げる人に強い印象を与える存在です。
その姿は、凶暴な鳥を思わせるシルエットで表現されることもあれば、魚の特徴を取り込んだドラゴンのような姿で表されることもあります。空を支配する鳥と、水を思わせる魚の要素をあわせ持つことで、自然の力そのものを体現したようなイメージが重ねられています。
力と魔除けのシンボルとしてのChiwen
Chiwen は、単なる装飾ではなく「力の象徴」として屋根に据えられています。建物の最も高い場所に神話の獣を置くことで、その建物が強さや威厳を備えていることを示す役割も担ってきました。
同時に、Chiwen は「邪悪なものを遠ざける存在」とも信じられてきました。人びとは、目に見えない災いが建物や暮らしに近づくのを、この獣が追い払ってくれると考えたのです。
伝説の中のChiwenは、嵐を呼び、火を飲み込む力を持つとされています。激しい風雨を操り、燃えさかる火さえも飲み込んでしまう――そんなイメージが重ねられた存在として、自然の脅威と向き合う人びとの想像力を映し出しています。
本当の「超能力」は、防水と落雷対策
物語の中では嵐を呼び、火を飲み込むChiwenですが、その「真のスーパーパワー」はもっと身近なところにあるとも言われています。それが、屋根の防水と落雷からの保護です。
Chiwen は、屋根の上に据えられることで、建物を雨風から守り、さらに雷からも建物を守る存在として意識されてきました。伝説の力と、建物を守るという実用的な役割が重なり合うことで、Chiwen は「守り神」としての存在感を強めています。
目に見える機能は屋根の一部でありながら、目に見えないところでは災いを防いでくれる――そんな二重の意味が込められたデザインだといえます。
Chiwenが語る、自然とのつきあい方
嵐を呼び、火を飲み込み、邪悪を追い払う。Chiwen に重ねられたイメージを並べてみると、人びとがどれほど自然や災害を意識しながら暮らしてきたかが見えてきます。
一見すると「こわい顔をした獣」ですが、その役割は恐怖を与えることではなく、不安の多い世界の中で安心感を与えることにあります。危険や災いを完全にコントロールすることはできなくても、「守ってくれる存在」を屋根の上に置くことで、日々の暮らしに心の拠り所をつくってきたとも言えます。
旅先や写真で出会ったら思い出したいポイント
もし古い中国建築の写真や映像を目にしたとき、屋根の端やてっぺんに不思議な獣の姿を見つけたら、次のような点を思い出してみてください。
- Chiwen は、古代の中国建築の屋根の上に据えられた神話上の獣であること
- 凶暴な鳥、あるいは魚の特徴を持つドラゴンのような姿で表現されること
- 力のシンボルであり、邪悪なものを追い払う守り神と信じられてきたこと
- 嵐を呼び、火を飲み込むという伝説を持ちながら、実際には屋根の防水や落雷対策と結びつけられていること
そう意識して眺めてみると、屋根の装飾が単なるデザインではなく、「物語」と「防御」の両方を担った存在として立ち上がって見えてきます。
神話と建築、信仰と実用が重なり合うところに生まれた屋根の守り神・Chiwen。日常の風景の中にも、こうした物語を背負ったデザインが潜んでいるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








