トランプ大統領、外国製映画に100%関税案 業界から「筋が通らない」の声
米国のドナルド・トランプ大統領が、外国で製作された全ての映画に対して100%の関税を課す手続きを開始するとSNSに投稿し、ハリウッドの映画業界やストリーミング企業から強い反発の声が上がっています。
投稿が行われたのは2025年12月7日(日)で、トランプ氏は映画産業について「アメリカの映画産業は非常に速いスピードで死につつある」と危機感をあらわにしました。翌8日(月)の取引では、ネットフリックスなど大手エンターテインメント企業の株価が下落し、この予測不能な政策の影響を巡って投資家の不安も広がっています。
外国製映画に100%関税、「米映画産業は死につつある」
トランプ大統領は7日、SNSへの投稿で、外国で製作された全ての映画に100%の関税を課すプロセスを承認したと表明しました。投稿では、海外で制作された作品を "produced in Foreign Lands" と表現し、関税を通じて国内の映画産業を守る狙いをにじませています。
さらにトランプ氏は、「アメリカの映画産業は非常に速いスピードで死につつある」とし、強硬な措置が必要だと主張しました。こうしたメッセージに対し、映画業界の専門家からは「It makes no sense(筋が通らない)」といった批判的な声も伝えられています。
ハリウッド「5アラーム火災レベル」 低予算作品ほど打撃
米CBSニュースのカーター・エヴァンス記者は、ハリウッドで広がる懸念を「5アラーム火災(five-alarm fire)」に例えました。特に、低予算映画や独立系映画の制作者にとっては深刻な打撃になりかねないと指摘しています。
エヴァンス氏によると、関税導入によって海外ロケや海外スタジオでの制作が事実上難しくなれば、製作費の膨張に加えて、脚本の舞台設定そのものを変えざるをえないケースも出てきます。「創造性が押しつぶされてしまう。米国内で撮影を強いられれば、物語の展開も変えなければならず、予算はさらに膨らむだろう」との見方が紹介されています。
「業界を壊しかねない」ストリーミング企業も危機感
CNNビジネスは、映画会社や配信プラットフォームの幹部たちが今回の関税案に対し「文字通り激怒している(downright apoplectic)」と伝えています。彼らの多くは、この方針が実際に実行に移されれば、映画・ストリーミング業界を「壊滅させかねない」と受け止めています。
8日の市場では、ネットフリックスなど主要エンターテインメント企業の株価が下落しました。投資家の間では、トランプ政権下で予告される突発的な政策が、収益見通しや長期の投資計画を不安定にしているとの見方が広がっています。
なぜ100%関税案にここまで反発が集まるのか
映画業界の専門家やアナリストは、今回の100%関税案について、経済的にも創造的にも「現実的でない」と批判しています。その背景には、現代の映画制作が国境を越えたネットワークに依存しているという事情があります。
もしトランプ氏が掲げる関税が、意図した通りの形で導入されれば、次のような影響が出る可能性があると懸念されています。
- ハリウッド作品を含む多くの映画が、コスト削減やロケ地の多様化のために海外で撮影・編集されており、関税によって制作費が一気に跳ね上がる可能性があること
- 予算に余裕のない低予算作品や独立系作品ほど追加コストに耐えられず、制作そのものを断念せざるをえない恐れがあること
- 大手スタジオも、海外の撮影所や現地スタッフを活用した効率的な制作体制を見直し、スケジュールの遅延や作品数の減少につながる可能性があること
- 最終的には、映画チケットや配信サービスの料金にコストが転嫁され、観客や視聴者の負担増や作品ラインナップの縮小につながる懸念があること
日本を含む世界の視聴者への意味
トランプ氏の投稿は、現時点では「100%関税を導入するためのプロセスを承認する」という宣言にとどまっており、具体的な制度設計や導入時期は明らかになっていません。それでも、ハリウッド映画や米国発の配信コンテンツに大きく依存する各国の市場にとっては、無視できない動きです。
アメリカでの制作環境が大きく変われば、国際共同制作のスキームや資金調達の仕組みにも影響が及びます。その結果として、日本を含む世界の視聴者がアクセスできる作品の幅や公開スケジュールにも、変化が生じる可能性があります。
文化産業の「保護」と国際競争のあいだで
自国の産業を守りたいという思いと、国際競争力を高めたいという目標は、ときに矛盾します。関税は、短期的には国内産業を保護する手段になり得ますが、長期的にはイノベーションや国際協力を損なうリスクもはらんでいます。
今回の100%関税案をめぐる激しい議論は、文化産業をどう保護し、誰のために開かれた市場にしていくのかという、より大きな問いにつながっています。保護か、競争かではなく、そのバランスをどこで取るのか――世界中で映画やドラマを楽しむ私たち一人ひとりにも、考えを求めるテーマになりつつあります。
Reference(s):
'It makes no sense:' Industry experts blast Trump's film tariff plan
cgtn.com







