中国・ロシアが音楽で語る戦争の記憶 サンクトペテルブルク「永遠の追憶」 video poster
2025年、第2次世界大戦の勝利から80年を迎える節目の年に、中国とロシアが戦争の記憶を音楽で共有する記念コンサートがサンクトペテルブルクで開かれました。タイトルは「永遠の追憶」。両国がファシズムと戦った歴史をたどり、犠牲者への追悼と平和への意思を改めて示しました。
サンクトペテルブルクで開かれた「永遠の追憶」
ロシアの歴史都市サンクトペテルブルクで行われたこの追悼コンサート「永遠の追憶」は、第2次世界大戦における勝利80周年を記念する国際的な文化イベントです。会場では、サンクトペテルブルク音楽院やロシア・中国交響楽団が中心となり、愛国的な楽曲や詩の朗読が披露されました。
ステージでは、戦時中に人々を励ました曲や、戦後の平和への願いを込めた曲が次々に演奏され、観客は静かに耳を傾けながら、両国が共有する「反ファシズムの記憶」に思いを巡らせました。音楽と詩を通じて、抽象的になりがちな歴史が、具体的な感情として立ち上がる構成になっていたと伝えられています。
「重い犠牲」と歴史のねじ曲げへの警鐘
コンサートには、ロシア連邦院外交委員会の第一副委員長であるアンドレイ・デニソフ氏から祝辞が寄せられました。デニソフ氏は、中国とロシアが平和のために払った犠牲の重さを強調するとともに、歴史的事実をゆがめる動きや、ファシズムを復活させようとする兆候に強い懸念を示しました。
そのうえで、中国とロシアは80年前と同じように、いまも世界の平和、平等、相互尊重を守るための揺るぎないパートナーであり続けていると述べ、両国の連帯をアピールしました。戦争体験の「風化」が進むなかで、どのように歴史を次世代につなぐのかという課題は、両国だけでなく国際社会全体に共通するテーマでもあります。
中国・ロシア関係を映す「記念コンサート」という場
今回の記念コンサートは、単なる追悼行事にとどまらず、中国・ロシア関係の現在地を象徴する場ともなっています。両国が「第2次世界大戦で共に戦った」という物語を共有し続けることは、自らを「反ファシズムの勝利を受け継ぐ側」と位置づけるメッセージでもあります。
国際関係の緊張が高まりやすいなかで、音楽や文化イベントを通じて協力関係をアピールする手法は、いわゆるソフトパワー(文化的な影響力)の一つといえます。観客にとってはコンサートでありつつも、同時に「歴史認識」と「現代の国際秩序」に関するメッセージが読み取れる場でもあります。
音楽がつなぐ歴史の記憶と現在
戦争体験を直接語れる人が少なくなりつつある2025年において、歴史をどう語り継ぐかは各国共通の課題です。教科書や資料だけでなく、音楽や文学、映像など、心に残る表現を通じて記憶を共有しようとする試みが広がっています。
今回の「永遠の追憶」は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 80年後のいま、戦争の経験から何を学び続けるのか
- 歴史を政治的に利用することと、記憶を守ることの違いをどう見分けるのか
- 文化や芸術は、分断ではなく対話を生み出す力になり得るのか
中国とロシアが音楽を通じて示した「共通の記憶」は、私たち自身の歴史理解や、これからの国際社会に何を望むのかを考え直すきっかけにもなります。スマートフォンの画面越しに届く一つのニュースとして、このコンサートをどう受け止めるかは、私たち一人ひとりに委ねられています。
Reference(s):
United in remembrance: China-Russia concert honors WWII legacy
cgtn.com








