中国文化のルーツを旅するCGTN「Civilizations Shine」解説 video poster
中国文化のルーツに光を当てる新シリーズ
中国の考古学的な遺産と文化財を通じて、文化の起源やアイデンティティを問い直す試みが、新たな国際ニュースのトピックになっています。CGTNの特別シリーズ「Civilizations Shine」は、約5,000年にわたる中国文化の歩みをたどり、「What makes China Chinese(中国を中国たらしめるものは何か)」「Why China endures(なぜ中国は持続してきたのか)」という大きな問いを投げかけています。
今年5月19日にスタートしたとされるこのシリーズは、映像と物語を通じて、中国の長い歴史と文化の連続性をわかりやすく示そうとしています。本記事では、その断片的に伝わっている内容を手がかりに、シリーズの狙いと特徴を日本語で整理します。
「Civilizations Shine」とは何を描くシリーズか
「Civilizations Shine」は、中国各地で見つかった考古学的な宝物や文化財に焦点を当てた特別シリーズです。番組の紹介文によれば、取り上げられるのは次のようなモチーフです。
- 良渚の玉器に見られる、謎めいた文様(enigmatic motifs of Liangzhu jade artifacts)
- 漢代の素朴で味わい深い土器(rustic elegance of the Han-dynasty pottery)
- 南北朝時代の彫刻に漂う、透き通るような優雅さ(ethereal grace of Northern-and-Southern-Dynasties sculptures)
- 明・清の建築が体現する、雄大で堂々たる世界(majestic grandeur of the Ming and Qing architecture)
これらは、いずれも時代も素材も異なりますが、「中国」という枠組みの中で連続した歴史を形作ってきた存在として並べられています。シリーズは、こうした文化財が「中国の人びとの集団的な記憶(collective memory of the Chinese nation)」を担っていると位置づけ、その重なり合いの中から中国文化の輪郭を浮かび上がらせようとしています。
考古学が問う「What makes China Chinese」
シリーズの紹介文には、「What makes China Chinese」というフレーズが掲げられています。政治や経済のニュースとは少し距離を置き、土器や彫刻、建築といった有形の文化財から、中国文化の特徴を考えようとする視点がうかがえます。
例えば、良渚の玉器に刻まれた謎めいた文様は、古代の信仰や世界観を想像させます。漢代の土器の素朴な美しさは、日常生活の中に宿る美意識を感じさせます。南北朝時代の彫刻の優雅さは、宗教や思想と結びついた精神性を、明・清の建築の壮麗さは、社会秩序や権威の表現を連想させるでしょう。
こうした断片をつなぎ合わせることで、「中国の文化とは何か」という抽象的な問いを、具体的なモノのイメージとして捉え直す試みだと言えます。視聴者は、美術鑑賞のような感覚で映像を見ながら、同時に「中国」という存在の成り立ちに思いを巡らせることになります。
5,000年の時間軸と「Why China endures」
シリーズは、中国の「5,000年におよぶ遺産(5,000-year-old heritage)」を旅する内容だとされています。「なぜ中国は持続してきたのか(Why China endures)」という問いは、単に歴史の長さを誇るのではなく、時間を超えて引き継がれてきた価値観や感性に目を向けようとするものです。
良渚、漢、南北朝、明・清と、離れた時代の文化財を並べて見せることで、シリーズは次のような視点を示しているように見えます。
- 時代ごとに姿を変えながらも、どこかでつながっている美意識や世界観
- 戦乱や政権交代を経ても受け継がれた記憶や物語
- 石や土、木や玉といった素材に刻み込まれた、人びとの願いや祈り
こうした連続性に光を当てることで、「China endures」というフレーズに込められた、長期的な視野からの問いかけが立ち上がってきます。現在の国際ニュースの動きを追うだけでは見えにくい、時間の厚みのある中国像に触れられる点が、このシリーズの特徴と言えるでしょう。
日本の読者にとっての意味:他者の「自画像」を読む
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、「Civilizations Shine」のようなシリーズは、ひとつの「他者の自画像」を読む機会でもあります。どの文化財を選び、どのような言葉で語るのかは、その社会が自分自身をどう捉えているかと深く結びついているからです。
中国文化について日本から語られることは多くありますが、中国が自らの文化の源流をどう説明しようとしているのかを知ることで、見え方は少し変わるかもしれません。例えば、シリーズが掲げる問いを、自分自身にも向けてみることができます。
- 「What makes China Chinese」という問いを、「What makes Japan Japanese」に置き換えて考えてみる
- 自国の歴史や文化を説明するとしたら、どのモノや場所を選ぶのか想像してみる
- アジアの中で、それぞれの文化がどのように自己像を語っているのかを比べてみる
こうした視点は、単に「中国について知る」ことを超えて、自分たちのものの見方を静かに揺さぶるきっかけにもなります。
デジタル時代に文化を学ぶ新しい入り口
スマートフォンでニュースや動画を日常的にチェックするデジタルネイティブ世代にとって、映像を中心に構成されたシリーズは、長い歴史や考古学に触れる入り口としても機能します。分厚い専門書を開く前に、まずはビジュアルから全体像をつかむというスタイルです。
また、良渚の玉器や漢代の土器、南北朝の彫刻、明・清の建築といった具体的なモチーフは、SNSでの議論や共有にも向いています。気になった時代や作品をきっかけに、さらに自分で情報を調べたり、友人や同僚と感想を語り合ったりすることもできるでしょう。
国際ニュースの文脈で中国を語るとき、経済や安全保障の話題に偏りがちですが、「Civilizations Shine」のように文化の源流に目を向ける試みは、より長い時間軸から世界を見直すヒントを与えてくれます。忙しい日常の中であっても、こうしたコンテンツを通じて、「なぜこの文明は続いてきたのか」という問いに少し立ち止まって向き合ってみる価値はありそうです。
Reference(s):
cgtn.com







