トランプ政権がハーバードの留学生受け入れ停止 国際ニュースの波紋
トランプ政権が米ハーバード大学の学生・交流訪問者プログラムの認証を取り消し、新たな国際的な留学生の受け入れを事実上止めました。既に在学している留学生は、転校か在留資格喪失の選択を迫られる可能性があります。この国際ニュースは、米国留学をめざす世界中の学生や研究者にとって無視できない動きです。
何が起きたのか:ハーバードの留学生受け入れ停止
米国土安全保障省は木曜日、ハーバード大学に対する「学生・交流訪問者プログラム(Student and Exchange Visitor Program=SEVP)」の認証を取り消したと発表しました。SEVP認証は、大学が留学生の受け入れやビザ関連の書類発行を行うために必要な仕組みで、この認証を失うと新規の外国人留学生を正規に受け入れることができなくなります。
発表を行ったクリスティ・ノーム国土安全保障長官は、声明の中で「留学生を受け入れることは権利ではなく特権だ」と強調し、ハーバードが連邦法に繰り返し従わなかったため、その特権を取り消したと述べました。また、この決定は全米の大学や教育機関への「警告」でもあると位置づけています。
既存の留学生は「転校か在留資格喪失」
国土安全保障省は、今後ハーバードは新たな外国人留学生を受け入れられないだけでなく、「既存の外国人学生は転校するか、法的な在留資格を失う」とも説明しています。つまり、ハーバードに在籍している留学生は、SEVP認証を保持している別の大学や教育機関に移らなければ、米国に合法的に滞在し続けることが難しくなる可能性があります。
2023年秋学期時点で、ハーバードの学生のうち留学生は全体の27%超を占めていました。これだけ多くの学生が影響を受けうることを考えると、今回の決定は大学コミュニティにとって極めて大きな打撃です。
- ハーバードへの新規留学を予定していた学生は、計画の見直しを迫られる。
- 在学中の留学生は、短期間で転校先を探す必要が出てくる。
- 共同研究や国際プロジェクトが中断・縮小されるリスクがある。
ハーバードは「違法で有害な報復」と強く反発
これに対し、ハーバード大学は声明を出し、今回の政権の措置を「違法で、ハーバードとこの国に深刻な害をもたらすものだ」と強く批判しました。
大学は、世界140以上の国・地域から集まる留学生や研究者が、ハーバードや米国社会に計り知れない価値をもたらしていると強調し、「国際的な学生・研究者を受け入れ続ける能力を維持することに全面的にコミットしている」と表明しています。また、今回の措置を「報復的な行為」と位置づけ、学術・研究ミッションを損ない、ハーバード・コミュニティ全体に深刻な悪影響を与えると警告しました。
背景にある4月の巨額助成金凍結
今回の衝突は、突然始まったものではありません。今年4月、トランプ政権はハーバードに対する22億ドル(約数千億円)規模の連邦助成金を凍結しています。きっかけとなったのは、政権側が求めた二つの要求でした。
- 大学の多様性・公平性・包摂(Diversity, Equity and Inclusion=DEI)プログラムを廃止すること
- 国際的な留学生について、思想的な観点からの審査を行うこと
ハーバードがこれらの要求を拒否したことを受けて、政権は助成金凍結に踏み切りました。今回のSEVP認証取り消しは、その延長線上で両者の対立がさらにエスカレートしたものといえます。
国際教育への波紋:米国留学はどう変わるか
世界屈指の名門であるハーバード大学が、新規の外国人留学生を受け入れられなくなるという事態は、米国の高等教育と国際教育市場に大きな衝撃を与えます。少なくとも短期的には、次のような影響が懸念されます。
- 他の米国大学も、自らの留学生受け入れ体制や連邦法順守状況を、政権の視線を意識しながら見直す可能性。
- 米国留学を希望する学生が、大学選びの段階で政治リスクや規制リスクをより慎重に考慮する必要性。
- 学問の自由やキャンパスの多様性をめぐる議論が、一層政治化していく可能性。
特に、研究職や高度専門職を目指す留学生にとっては、大学選びと同時に、ビザや在留資格を支える制度がどれだけ安定しているかが、これまで以上に重要な判断材料となりそうです。
日本の読者にとってのポイント
日本から米国への留学を検討している学生や保護者、企業派遣などで渡米を希望する社会人にとって、今回のニュースは「ハーバードだけの問題」とは言い切れません。次の点を押さえておくとよいでしょう。
- 志望校がSEVP認証を持っているか、また今後の政策変更リスクについて情報をこまめに確認すること。
- 奨学金や研究助成など、公的資金と大学運営をめぐる政治的な関係が、教育環境に影響しうること。
- 多様性や包摂、思想の自由をめぐる議論が、キャンパスでの学びや生活にどのように反映されているのかを知ること。
いずれにせよ、ハーバード大学とトランプ政権の対立が今後どのような法的・政治的プロセスをたどるのか、そして他の大学に波及するのかは、国際ニュースとして引き続き注視する必要があります。
これからの注目点
今後数カ月間で、次のような動きが焦点となりそうです。
- ハーバードが司法の場で決定の差し止めを求めるのかどうか。
- 連邦政府が、他の大学や研究機関に対しても同様の措置を検討するのか。
- ハーバードの留学生と研究者が、転校や帰国などどのような選択をしていくのか。
国際的な人の往来と知の交流をどう支えていくのかという問いは、日本を含む各国に共通する課題です。今回のハーバードをめぐる動きは、その課題をあらためて突きつけるものだといえます。
Reference(s):
cgtn.com








