AIで屈原とビデオ通話?ドラゴンボート祭の物語を語り直す試み video poster
2000年後の屈原とつながるAIビデオ通話
もし約2000年前の詩人・屈原とビデオ通話ができたら――。そんな想像をそのまま映像化したような企画が、AI技術を使って形になっています。
タイトルは A video call with Qu Yuan, 2000 years later II。視聴者はスマートフォンの画面越しに、古代の詩人と通話しているかのような体験をします。AIによって再現された屈原が、自らの精神、悲しみ、そして揺るがない決意を語りかける構成です。
ドラゴンボート祭が行われる旧暦5月5日。その日付の背景にある物語に、現代の技術を通じてもう一度光を当てようとする試みでもあります。
ドラゴンボート祭と物語の主人公
ドラゴンボート祭は、旧暦5月5日に中国などで行われる伝統行事で、ボートレースなどで知られています。しかし「なぜその日なのか」「そこにどんな物語があるのか」までは、あまり意識したことがない人も多いのではないでしょうか。
今回の映像企画は、その問いかけから始まります。ドラゴンボート祭の背後にある物語を、歴史の教科書ではなく、当事者である一人の詩人の視点から語り直そうとするものです。
画面の中の屈原は、華やかな祭りの裏側にあった葛藤や孤独、そして信念を淡々と語ります。派手な演出というより、静かな対話のような雰囲気が強調されている点も印象的です。
AIが歴史と出会うときに見えてくるもの
2025年現在、生成AIは文章や画像だけでなく、動く人物の映像や声を生み出す技術としても急速に広がっています。屈原とのビデオ通話というアイデアは、その最前線を文化や歴史の分野に持ち込んだ例だと言えます。
AIが歴史上の人物を再現することには、次のような可能性があります。
- 年表や年号ではなく、一人の人間の感情や葛藤から歴史に触れられる
- 物語を動画として体験することで、祭りや儀式の意味が印象に残りやすくなる
- 異なる時代や文化を生きた人の視点から、現代を相対化して考えるきっかけになる
一方で、それは歴史そのものを完全に再現するというより、現代の私たちが解釈した屈原像をAIという形で提示している、という見方もできます。誰のどんな解釈が反映されているのかを意識しながら見ることが、これからの時代のリテラシーになりそうです。
日本の私たちにとっての意味
ドラゴンボート祭のニュースを日本で目にするとき、多くの場合はレースの迫力や観光イベントとしての側面がクローズアップされがちです。今回の屈原とのビデオ通話企画は、その背後にある個人の物語や感情にもう一度目を向けてみよう、と静かに促しています。
もし日本でも、例えば古典の作者や歴史上の人物とAIで対話する企画が生まれたら、教科書で習った物語がぐっと身近なものとして感じられるかもしれません。歴史を覚える対象から、対話し、問いかける相手へと変えていくアプローチです。
約2000年前の詩人の精神や悲しみ、揺るがない決意が、AIを通じて私たちのスマートフォンに届く時代。そこには、単に技術の新しさだけでなく、過去と現在、そして異なる文化をどうつなぐのかという、静かな問いが込められています。
画面越しの屈原の言葉に耳を傾けることは、遠い国の祭りの起源を知ることと同時に、自分たちの社会や価値観を見つめ直す小さなきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








