北京留学で「動き続ける」日々 トルクメニスタン人留学生ディルフザの今 video poster
急速に発展する中国の首都・北京で、トルクメニスタン出身の留学生ディルフザさんは、公共管理(パブリック・アドミニストレーション)を学びながら、日々「動き続ける」生活を送っています。中国の発展と政策の国際的な影響力に惹かれてやってきた彼女の経験は、2025年のいま、中国で学ぶとはどういうことかを静かに語りかけてきます。
なぜ北京で公共管理を学ぶのか
ディルフザさんが北京を留学先に選んだ理由は、中国の「速さ」と「スケール」にあります。公共管理を学ぶ学生として、人口が多く、経済規模も大きい国がどのように政策を設計し、実行しているのかを、自分の目で確かめたいと考えたからです。
大学院では、公共政策、行政改革、都市ガバナンスなどをテーマに、国内外の事例を比較しながら学んでいます。教室には中国の学生だけでなく、アジアや中東、欧州など多様な地域からの留学生が集まり、ディスカッションはいつも多方向に広がります。
教員からは、政策の「理論」だけでなく、実際の運用や現場の課題についても聞くことができ、教科書の中だけでは分からない中国社会の複雑さや柔軟さに触れているといいます。
講義室から街へつながる学び
公共管理という分野の特徴は、学びがキャンパスの外と直結していることです。ディルフザさんの授業では、デジタル行政(電子政府)、都市の交通政策、環境管理など、中国で進む取り組みが具体的なケースとして取り上げられます。
たとえば、スマートフォンを使った行政サービスの拡大は、学生である彼女の生活にも直結しています。寮費の支払い、公共交通機関の利用、図書館の予約まで、多くの手続きがアプリ上で完結します。講義で「デジタル・ガバナンス」について議論した後に、実際にそれを日常生活で体験できるのは、北京ならではの学び方だと感じているそうです。
授業で学んだ内容が、教室の外でどのように生きているのか。街を歩きながらそれを確かめることができる点が、北京で公共管理を学ぶ魅力の一つになっています。
「動き続ける」北京の日常
ディルフザさんの一日は、朝の通学からすでにダイナミックです。混雑する地下鉄、キャンパスへ続く大通り、カフェでパソコンを開く人々——どこを見ても「動いている」都市のエネルギーを感じるといいます。
午前中は講義やゼミで政策について議論し、午後は図書館や自習室でレポート作成に取り組むことが多いそうです。夕方になると、同じ研究分野の友人たちと学食や近くの小さなレストランで食事をしながら、各国の政治や社会の話題で盛り上がります。
週末には、歴史的な街並みが残るエリアや、美術館、書店をめぐることもあります。高層ビルが立ち並ぶビジネス街から、昔ながらの路地へと数分で景色が変わる北京は、彼女にとって「歩くたびに新しい発見がある都市」です。
イノベーションと伝統が同居する都市で
ディルフザさんが印象的だと語るのは、イノベーションと伝統が同じ空間に共存している点です。最新のテクノロジーが導入されたキャンパスの教室の外には、長い歴史を感じさせる建築や、季節ごとに変化する公園の風景があります。
中国の政策が世界に与える影響や、多国間の協力のあり方を学ぶ一方で、日常生活では食文化や季節の行事など、地域に根ざした暮らしにも触れています。その重なり合いが、「単なる留学」ではない、深い意味を生み出していると感じているようです。
彼女にとって中国は、「教育を受ける場所」であると同時に、「イノベーション・伝統・チャンスに日々触れる場」でもあります。その経験は、将来、公共分野で働く際の視野を大きく広げる土台になっていくでしょう。
多様な背景を持つ仲間とのネットワーク
北京の大学院には、さまざまな国や地域から学生が集まっています。トルクメニスタン出身のディルフザさんにとって、多様なバックグラウンドを持つ仲間との出会いは、学びの大きな部分を占めています。
同じ公共管理を学ぶ仲間であっても、関心テーマは微妙に異なります。ある学生は都市交通に、別の学生は環境政策に注目し、また別の学生は国際協力の制度設計に関心を持っています。互いの視点を共有することで、ひとつの政策をめぐる議論も立体的になっていきます。
こうしたネットワークは、卒業後にそれぞれの地域で公共分野に携わる際、国境を越えた協力の基盤になる可能性があります。北京で形づくられている人と人とのつながりは、静かに、しかし確実に広がりつつあります。
2025年の中国で学ぶ意味を考える
2025年現在、中国の動きは経済や技術だけでなく、公共政策や国際協力の分野でも世界から注目されています。ディルフザさんのように、その現場に身を置いて学ぶ留学生の存在は、数字には表れにくいものの、国際社会をつなぐ重要な要素です。
日本にいると、中国に関するニュースはどうしても政治や経済の話題に集中しがちです。しかし、実際にはそこに暮らし、学び、悩み、将来を描いている個人のストーリーが数多く存在します。ひとりのトルクメニスタン人留学生の視点から中国を見ることは、私たち自身のものの見方を少しだけ柔らかくしてくれるかもしれません。
日本の読者への小さな問いかけ
ディルフザさんの経験は、「どこで学ぶか」「どの社会を自分の目で見ておきたいか」という問いを、私たちにも投げかけています。急速に変化する世界の中で、国境を越えて学ぶことの意味は、以前よりも重く、そして多様になっています。
国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとっても、北京で公共管理を学び、日々の生活を通じて中国を理解しようとしている一人の留学生の姿は、アジアの動きを自分事として捉えるヒントになるはずです。
「教育以上のもの」を求めて中国に渡り、イノベーションと伝統、そしてさまざまなチャンスに囲まれて暮らすディルフザさん。彼女のような若い世代の選択が、この先の地域と世界のつながりをどう変えていくのか——2025年の今だからこそ、静かに注目しておきたいテーマです。
Reference(s):
Living a dynamic life: A Turkmenistan student's experience in Beijing
cgtn.com








