ブラジル・リオでナショナル・ブックフェア閉幕 ユネスコ世界本の首都の一年 video poster
2025年、ブラジルのリオデジャネイロはユネスコの『世界本の首都(World Book Capital)』に選ばれました。その締めくくりとして開かれていた特別版のナショナル・ブックフェアが、このほどリオで閉幕しました。文学・文化・エンタメを一体化させたこの試みは、本と都市の関係を改めて問い直す一年の象徴的なイベントとなりました。
リオがユネスコ『世界本の首都』に選ばれた意味
ユネスコの『世界本の首都』は、読書や出版、図書館政策など、本を中心にした取り組みが評価された都市が毎年一つ選ばれる国際的な称号です。2025年はリオデジャネイロが選出され、ポルトガル語を公用語とする都市としては初めての受賞となりました。
ポルトガル語圏では、多くの読者と作家が世界中に広がっていますが、国際的な議論では英語やフランス語、スペイン語が注目されがちです。そのなかで、リオが世界本の首都に選ばれたことは、ポルトガル語圏の文化的存在感を可視化する象徴的な出来事だと言えます。
ナショナル・ブックフェアとは何か
今回閉幕したナショナル・ブックフェアは、ブラジルを代表する大規模な書籍イベントです。毎年開催され、リオデジャネイロとサンパウロで交互に開かれる、いわば隔年で各都市を巡るビエンナーレ形式のブックフェアとなっています。
2025年のリオ開催は、ユネスコ世界本の首都の年と重なったことで、通常の年とは異なる「特別版」として企画されました。文学作品の紹介だけでなく、文化イベントやエンターテインメント公演を組み合わせた、より開かれた都市型フェスに近いスタイルが特徴です。
文学×カルチャー×エンタメの「ミックス型」イベント
主催者は、書店や図書館の中だけにとどまらない、本と人との新しい出会い方を模索しました。そのコンセプトは、次のような要素に表れていました。
- 作家や編集者によるトークイベントや公開対談
- 詩の朗読、演劇、音楽ライブなどを組み合わせたステージパフォーマンス
- 子ども向けの読み聞かせやワークショップを通じた読書体験の提供
- デジタル技術を活用したインタラクティブな展示や、電子書籍・オーディオブックの紹介
こうした「ミックス型」のアプローチによって、従来の読書家だけでなく、普段は本を手に取らない人や若い世代も巻き込むことが狙いとされました。会場の様子は、CGTNのルクレシア・フランコ記者によって伝えられています。
本のイベントが都市にもたらすもの
国際ニュースとして見たとき、リオのナショナル・ブックフェアと世界本の首都の取り組みは、一つの都市が「本」を軸にどのように自らをデザインし直せるかという実験の場にもなっています。そこには少なくとも三つの側面があります。
- 教育と読書文化の底上げ
読書推進キャンペーンや学校との連携イベントを通じて、子どもや若者が本に触れる機会を増やすことは、長期的な教育基盤の強化にもつながります。 - 出版・クリエイティブ産業の活性化
出版社、書店、作家、翻訳者など、多様なプレーヤーが集うことで、ビジネスとしての出版やコンテンツ産業の新しい連携が生まれやすくなります。 - 多文化都市としての発信力
リオは歴史的に多様な文化が交わる都市です。本を媒介にしたフェアは、その多様性を国内外の読者に伝える役割を果たします。
日本の読者にとっての問い
リオの事例は、日本の都市や地域にとっても示唆に富んでいます。人口減少や中心市街地の空洞化が話題になるなかで、「本」を軸にしたフェスティバルや読書の場づくりは、街に人を呼び戻す一つの方法になり得ます。
オンラインでニュースを読み、SNSで情報をシェアする私たちにとっても、今回のナショナル・ブックフェアは次のような問いを投げかけています。
- デジタル時代に、リアルな「本の場」はどんな価値を持ち続けられるのか
- 都市や地域は、本や言葉を通じてどのように自らの物語を世界に伝えられるのか
- 私たち自身は、どの言語の、どんな物語にこれから時間を使いたいのか
2025年のリオでの試みは、こうした問いを具体的なかたちで示した一例と言えます。日本からは少し遠いブラジルのニュースですが、「本」と「都市」をめぐるテーマとしては、私たちの生活とも静かに響き合う話題ではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com







