仏牙を迎えたバンコクの仮殿 ドラゴンとナーガが語る中タイ50年 video poster
2024年末、北京のLingguang Templeに安置されていた仏陀の歯の舎利が、国交樹立50周年を記念してタイの首都バンコクへ送られました。その旅路を支えたのが、文明間対話をテーマに設計された特別な仏牙の仮殿です。
2024年末の象徴的な旅路
仏陀の歯の舎利は、仏教世界でも特に重要な聖遺物とされています。2024年末、この舎利を所蔵する北京のLingguang Templeは、バンコクへ舎利を送り出しました。これは、中国とタイの国交樹立50周年を象徴する出来事として位置づけられました。
テーマは文明間対話 設計チームの狙い
舎利を迎えるため、バンコクに新たに設けられる仮殿の設計は、プロジェクトの中核でした。建築チームは、そのコンセプトとして文明間対話を掲げました。宗教建築を通じて、中国とタイそれぞれの歴史や信仰、美意識が静かに語り合う場にしようとしたのです。
タイ建築に息づく中国の意匠
建築チームは、タイの都市や寺院にすでに溶け込んでいる中国的な要素に注目しました。長い時間をかけて、釉薬で彩られた瓦など、多くの中国由来の意匠がタイ建築に取り入れられてきました。今回の仮殿でも、その流れを踏まえつつ、両国の文化が自然に響き合う形をめざしたとされます。
軒先で出会うドラゴンとナーガ
仮殿デザインの中でも象徴的なのが、屋根の軒先です。最終案では、うねるように体を巻いた中国のドラゴンと、タイ神話に登場する蛇神ナーガが一体となる意匠が採用されました。空を舞うドラゴンと、水や大地を守るナーガが並び立つ姿は、異なる伝統が対立ではなく共存しうることを視覚的に示しています。
ドラゴンとナーガはいずれも守護や力強さを象徴する存在であり、仏牙という貴重な聖遺物を守るにふさわしいモチーフでもあります。同時に、両国の文化や信仰が互いを尊重しながら寄り添うイメージを重ねることができます。
仏教と建築がつなぐ中タイの50年
今回の仏牙の奉安と仮殿の設計には、外交や経済とは少し異なる形でのつながりが表れています。仏教という共通の精神的土台を背景に、建築そのものを媒体として、両国の文明が出会い、互いを映し合う場がつくられました。ドラゴンとナーガを組み合わせた軒先は、その象徴的な一場面と言えるでしょう。
2025年の今、この出来事を振り返ると、文化や信仰の共有が国と国の関係を支える一つの柱であることが見えてきます。華やかな式典だけでなく、目に見えにくいデザインの選択まで含めて、50年の歩みをどう表現するかが丁寧に考えられていたことが伝わってきます。
読者への問いかけ 文明間対話を日常にどう生かすか
文明間対話という言葉は少し大げさに聞こえるかもしれませんが、その本質は、違いを恐れずに相手の背景に耳を傾ける態度にあります。ドラゴンとナーガを並べる建築家の発想は、日常のコミュニケーションにも応用できそうです。
海外のニュースや文化に触れる時、共通点だけでなく、相違点をどう受け止めるかが問われます。今回の仮殿のように、どちらか一方に寄せるのではなく、両方の物語を丁寧に織り込んでいく視点は、グローバル化が進む2025年を生きる私たちにとっても参考になるはずです。
中タイ国交樹立50周年を記念して設計された仏牙の仮殿は、一見すると遠い国の出来事のように感じられます。しかし、その背景にある文明間対話の発想に目を向けると、国境を越えた対話のヒントが身近なところにも見えてくるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








