中国の若手起業家と地方の力:GBA、寧夏ワイン、泉州文化をめぐる3つの物語 video poster
中国の国際ニュースを日本語で追いかけていると、数字や政策の話が中心になりがちですが、現場の人びとの顔を見ると少し違う風景が見えてきます。番組MEET CHINAのエピソード11に登場する三つの物語は、若手起業家、地方ワイン、文化遺産という切り口から、いまの中国社会を立体的に映し出しています。
グレーターベイエリアで躍動するポスト90後起業家
最初の舞台は、広東省と香港、マカオを結ぶグレーターベイエリアです。イノベーションとビジネスチャンスが集まるこの地域では、1990年代生まれの若手起業家たちが、新しい経済とライフスタイルをつくり出しています。
このパートを案内するのは、CGTNのOlivia Heさんです。彼女が紹介するのは、それぞれ異なる分野で挑戦する三組の若きプレーヤーです。
- アジアのテック業界をつなぐ場づくりを目指すJason Hoさん。スタートアップや投資家が集うイベントBEYOND Expoの共同創業者として、国や地域をまたいだネットワークづくりに取り組んでいます。
- 深センで韓国の家庭の味を届けるカフェを切り盛りする、韓国出身の2人の女性。異国の地で、自分たちの文化と食を通じてコミュニティを育てています。
- メディア企業Digital Sparksの共同創業者Teelさん。インフルエンサーやクリエイターが中国本土市場にスムーズに入っていけるよう、情報発信やコンテンツ制作を支えています。
出身もバックグラウンドも異なる若者たちが、グレーターベイエリアという共通のフィールドで、それぞれのやり方で未来を切り開いている姿が浮かび上がります。
寧夏で生まれる、マルスランと地元牛肉のマリアージュ
次の物語の舞台は寧夏です。ここで登場するのが、マルスランというブドウ品種と出会ったことで人生が変わったMa Liangさんです。偶然の出会いをきっかけに、彼は地元のワインを広く伝えたいという情熱に火が付きます。
Maさんは賀蘭山のブドウ畑を巡りながら、寧夏産ワインと中国料理の相性を探ります。特に、地元の牛肉とマルスランを合わせる試みは、土地の食材とワインを一体の体験として楽しもうとするものです。
ワインづくりが単なる産業ではなく、その土地のストーリーや味わい方を提案する文化的な試みでもあることが、このパートから伝わってきます。
泉州の兄弟がつなぐ、遺産とイノベーション
最後の舞台は、歴史と伝統が色濃く残る泉州です。ここでは、Huang YuekunさんとHuang Cankunさんという兄弟が、故郷の文化をそれぞれのやり方で未来につなごうとしています。
兄のHuang Yuekunさんが手がけるプロジェクトQuanzhou Fuは、泉州の物語やモチーフをデザインに取り入れ、伝統文化を現代の生活に溶け込ませる試みです。古い要素をそのまま保存するのではなく、日常で使える形にリメイクしている点が特徴です。
一方、弟のHuang Cankunさんは、泉州の歴史的な街並みや遺跡を写真に収め、その魅力を視覚的に伝えています。レンズを通して、過去と現在が同じフレームの中で共存していることを見せようとしているかのようです。
二人の活動は、文化遺産を守ることと、新しい表現で届け直すことが矛盾しないどころか、相互に支え合いうるということを示しています。
三つの物語に共通するキーワードはローカル
グレーターベイエリアの若手起業家、寧夏のワインを育てるつくり手、泉州の文化を記録する兄弟。一見バラバラに見える三つの物語には、いくつかの共通点があります。
- 自分のローカルを起点にしながら、外の世界とつながろうとしていること
- ビジネスや文化、メディアといった異なる手段を通じて、地域の魅力を再発見していること
- 過去の遺産を大切にしつつ、新しい表現やサービスでアップデートしようとしていること
日本でも地方創生やスタートアップ支援が話題になりますが、こうした中国の事例を見ると、地域の物語を誰がどのような言葉で語るのかが、今後ますます重要になっていくように感じられます。
国際ニュースを数字や外交だけでなく、人びとの挑戦や日常からも眺めてみる。そんな視点を持つことで、アジアの隣人である中国への理解も、少しずつ立体的になっていくのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








