中国の節気「Minor Heat」と古代の涼の取り方
電気のない時代の「涼」をのぞく――中国の節気「Minor Heat」とは
2025年7月7日は、伝統的な中国の暦で夏の5番目の節気「Minor Heat」の始まりでした。この「Minor Heat」は、一年の中でも最も暑く、湿度の高い時期の到来を告げます。本格的な猛暑を前に、電気もエアコンもなかった時代の人びとは、どのように涼をとっていたのでしょうか。
北京市にあるBeijing Folk Custom Museum(北京民俗博物館)の展示からは、古代中国の暮らしの知恵が垣間見えます。この記事では、そのいくつかを紹介しながら、現代の私たちの夏の過ごし方を少しだけ見直してみます。
節気「Minor Heat」が告げる夏の本番
「Minor Heat」と呼ばれるこの節気は、7月7日に始まり、一年で最も暑く湿度も高い時期の始まりを告げます。現代の私たちはエアコンや扇風機に頼りがちですが、古代の人びとは自然の素材や香り、氷などを工夫して、この厳しい季節を乗り切っていました。
香りと風で涼をとる:扇とサシェ
Beijing Folk Custom Museumの展示には、折りたたみ式の扇(folding fans)が並びます。古代中国の人びとは、持ち運びしやすい扇を使って、どこでも自分で風を起こして暑さをしのいでいました。
さらに興味深いのが、身につけるサシェ(香り袋)です。展示によると、古代の人びとはミントやサンダルウッドなどを詰めた香り袋を身につけ、暑い日に気分をすっきりさせていました。爽やかな香りで気持ちを落ち着かせる、シンプルながらも五感に働きかける暑さ対策だったといえます。
氷が庶民のものに:清朝の冷たい楽しみ
時代が下り、Qing Dynasty(清朝)のころになると、氷は一般の人びとにも手が届くようになりました。氷が庶民のものになったことで、夏の楽しみ方も広がっていきます。
当時の街角では、冷たい飲み物を売る行商人が活躍していました。彼らは青銅のカップ(bronze cups)を打ち鳴らして音を出し、その響きを「呼び声」としてお客を引き寄せていたと伝えられています。氷の冷たさだけでなく、街に響く金属音もまた、夏の風物詩だったのかもしれません。
砕いた氷と甘い豆:人気スイーツ「Xuehualao」
清朝の人びとに人気だった冷たいおやつのひとつが、「Xuehualao」と呼ばれるスイーツです。砕いた氷に、甘い豆のペースト(bean paste)、レーズンを合わせてつくります。
氷のシャリシャリとした食感に、豆のやさしい甘さ、レーズンの酸味と甘みが重なり合う――想像するだけでも、厳しい暑さのなかでほっと一息つける味わいだったことが伝わってきます。シンプルな素材の組み合わせながら、当時の人びとにとっては夏を乗り切るささやかな楽しみだったのでしょう。
古代の知恵から、現代の夏を考える
エアコンや冷蔵庫が当たり前になった2025年の私たちの暮らしから見ると、扇や香り袋、氷のおやつで暑さをしのぐ古代中国の方法は、どこか素朴に映るかもしれません。しかし、自然の素材を活かし、音や香り、味わいといった五感を通して季節を受け止める感覚は、今の時代にも通じるものがあります。
今年の「Minor Heat」はすでに過ぎ、今は冬の空気が広がっていますが、次の夏が来たときには、扇を手にしたり、好みの香りのサシェを身につけてみたりと、古い時代の知恵を少しだけ自分の暮らしに取り入れてみるのもよさそうです。
北京の博物館に並ぶ展示品は、単なる懐かしい道具ではなく、「どのように暑さと付き合うか」という問いに対する、先人たちの静かな答えでもあります。国や時代を超えて、夏の過ごし方をもう一度考えるきっかけを与えてくれます。
Reference(s):
Minor Heat: A glimpse into ancient ways to stay cool in China
cgtn.com








