新疆の壁画を守る職人:トルファンで30年以上続く文化財保護 video poster
新疆ウイグル自治区トルファンの古代壁画を、30年以上にわたって守り続けてきた職人・Xu Dongliang 氏。その歩みは、2025年の今、「文化を未来へどう手渡すか」という問いを私たちに静かに投げかけています。
新疆・トルファンの壁画が映し出すもの
新疆(Xinjiang)のトルファンに残る古代壁画は、シルクロードの歴史と、多様な文化や信仰が交わってきた時間の堆積を物語る存在です。鮮やかな色彩や繊細な線は、遠い時代の人びとの暮らしや祈り、交流の記憶を今に伝えています。
こうした壁画は、単なる美術作品ではなく、「歴史の証人」であり、「人類共通の文化遺産」ともいえるものです。国や地域を超えて注目される国際ニュースとして、新疆の文化財保護は世界的な関心を集めています。
若き美術学生から「文化の守り人」へ
Xu Dongliang 氏の物語は、一人の若い美術学生がシルクロードに魅了されたところから始まります。学生時代に出会ったトルファンの壁画に心を奪われ、その後の人生を賭けて向き合うテーマになりました。
やがて彼は、古代壁画の保存と修復に本格的に携わるようになります。絵を「描く人」から、絵を「守る人」へ。視点の変化は、小さな心の動きから始まりつつも、結果的には新疆の文化を支える大きな転換となりました。
30年以上続く、見えない努力
壁画保存の現場は、華やかなイメージとは対照的に、地道で根気のいる仕事です。Xu 氏は30年以上にわたり、トルファンの壁画と向き合い続けています。
- わずかなひび割れや色の変化を見逃さない観察
- 壁画に負担をかけない慎重な作業
- 温度や湿度など、環境への長期的な配慮
こうした積み重ねによって、壁画は崩れ落ちることなく、当時の息づかいを現代まで伝えています。Xu 氏の情熱と専門性がなければ失われていたかもしれない景色が、今もトルファンには残されています。
困難を乗り越えて守られる「人類の記憶」
長い年月にわたる保存活動には、さまざまな困難が伴います。自然環境の変化や、時間の経過による劣化など、壁画を取り巻く条件は決してやさしくありません。それでも Xu 氏は、壁画を「人類の知恵と歴史の象徴」としてとらえ、その価値を次の世代へ渡すことを使命としてきました。
壁画を守ることは、単にモノを残すことではなく、そこに込められた物語や精神、交流の記録を守ることでもあります。Xu 氏は、その最前線で静かな闘いを続けてきた文化の守り人と言えるでしょう。
2025年の今、なぜ新疆の文化財保護に注目するのか
2025年の今、世界各地で文化遺産の保存と継承は重要なテーマとなっています。戦争や災害、都市開発などによって、かけがえのない遺産が失われるリスクが高まる中、新疆の壁画保護の取り組みは、国際ニュースとしても意味を持ちます。
デジタル技術が進み、文化財をオンラインで閲覧できるようになっても、現地で脈々と続く保存作業は欠かせません。Xu 氏のような職人の存在があるからこそ、デジタル化や研究も成り立ちます。見えにくい現場の努力に目を向けることは、私たちが文化との関わり方を考え直すきっかけになります。
私たちにできる、小さな「文化保護」
トルファンの壁画を直接目にする機会は多くないかもしれません。それでも、Xu Dongliang 氏の物語は、私たちの日常ともつながっています。文化を守る行動は、必ずしも大きなプロジェクトである必要はありません。
日常でできる3つのアクション
- 博物館や美術館を訪れ、展示の背景にある物語に耳を傾ける
- 文化財保護に関するニュースや解説記事を日本語で読み、共有する
- 旅先で出会う遺跡や文化財を、マナーを守って大切に扱う
こうした小さな行動の積み重ねが、文化を尊重する社会の空気をつくります。Xu 氏がトルファンで続けてきた30年以上の歩みも、もとは一人の若い美術学生の「この美しさを守りたい」という思いから始まりました。
「美しさを未来へ渡す」という選択
新疆の壁画を守り続ける Xu Dongliang 氏の物語は、文化財保護の現場を照らすと同時に、「私たちは何を未来に渡したいのか」という問いを投げかけています。
急速に変化する世界の中で、歴史や文化をどう受け取り、どのように次の世代へつなぐのか。新疆・トルファンの静かな壁画と、それを支える一人の職人の時間は、SNS で流れていく日々のニュースとは異なる、長い時間軸の物語を教えてくれます。
日々の情報の洪水の中で、こうした「静かなニュース」に立ち止まることが、自分のものの見方を少しだけ更新するきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








