国連本部前の「結ばれた拳銃」:暴力にノーを突きつける平和の象徴
ニューヨークの国連本部前に立つ一丁の「結ばれた拳銃」。銃口が固く結ばれたこの奇妙な彫刻は、暴力と戦争に反対する強いメッセージを発信し続ける平和の象徴です。
国連本部前でひときわ目を引く存在
アメリカ・ニューヨーク市の国連本部を訪れた人なら、多くがこの彫刻を目にします。リボルバー型の拳銃の筒が大きく結び目をつくり、発砲できない状態になっている姿は、遠くからでも印象的です。
観光客や外交官、国連で働く人たちが行き交うこの場所で、結ばれた拳銃は日々、暴力に頼らない選択肢があることを静かに訴え続けています。
ジョン・レノンの殺害に応えて生まれた作品
このブロンズ彫刻を制作したのは、スウェーデンのアーティスト、Carl Fredrik Reuterswärd(カール・フレドリク・ロイタースヴァルド)です。きっかけになったのは、イギリス出身のミュージシャン、ジョン・レノンが殺害された出来事でした。
友人でもあったレノンを失った悲しみと、無意味な暴力への怒り。その思いが形になったのが、銃そのものに「もう撃てない」という結び目をつくるというアイデアでした。
正式名称は Non-Violence、広く知られる名は The Knotted Gun
作品の正式名称は英語で Non-Violence(非暴力)です。一方で、多くの人には The Knotted Gun(結ばれた拳銃)という愛称で知られています。
硬く冷たいブロンズで作られた拳銃に、柔らかく見える結び目が加えられていることが、この作品の印象をより強くしています。破壊の象徴である武器に、あえて「結ぶ」という行為を重ねることで、暴力を止める力は武力そのものではなく、人の意思や想像力にあるのではないかという問いを投げかけています。
2019年に撮影された一枚の写真
この彫刻の写真は、国際ニュースを伝えるメディアの記者たちによってもたびたび撮影されています。2019年には、中国のメディアCGTNの記者・Zhang Jin(ジャン・ジン)氏が国連本部を訪れた際、この作品を撮影しました。
数年前に撮られた一枚の写真でも、銃口がしっかりと結ばれた姿や、その背後にそびえる国連本部の建物を通じて、国際社会が抱える暴力や紛争の問題、そして平和を求める思いがダイレクトに伝わってきます。
なぜ今も世界の人々の心をつかむのか
2025年の今も、世界ではさまざまな紛争や暴力事件が続いています。そのなかで、国連本部前に立つ結ばれた拳銃は、ニュースの見出しとは違う角度から「暴力に頼らない道はないのか」と問いかける存在です。
この作品が多くの人に響く理由として、次のような点が挙げられます。
- 複雑なメッセージを、ひと目で分かるシンプルな形にしていること
- 国連本部という「世界の課題」が集まる場所に設置されていること
- 特定の国や地域を責めるのではなく、「暴力そのもの」を問題としていること
だからこそ、国連を訪れる政治家や外交官だけでなく、観光で立ち寄った人や学生たちにとっても、立ち止まって考えさせられるきっかけになっているのです。
私たちの日常につながる「非暴力」というテーマ
Non-Violence(非暴力)というテーマは、戦争やテロだけでなく、私たちの日常にも深く関わっています。SNSでの誹謗中傷、職場や学校でのハラスメント、家庭内の暴力など、「言葉や力による暴力」は身近なところにも存在します。
結ばれた拳銃の前に立ったとき、多くの人が自分自身に問いかけます。
- 感情が高ぶったとき、相手を「攻撃しない」選択ができているか
- 違いのある相手と、対話や交渉で向き合えているか
- 周囲で起きている暴力に、見て見ぬふりをしていないか
国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとっても、この彫刻は「世界のどこかの話」ではなく、自分の日常とつながるテーマを静かに映し出していると言えるでしょう。
ニュースの向こう側にある「象徴」を見る
newstomo.com のような国際ニュースメディアを日々チェックしている読者にとって、国連本部はニュースで何度も目にする場所です。しかし、その画面の片隅に映る一つの彫刻にも、暴力に反対し平和を願う長い物語が宿しています。
国際情勢の分析や数字に目を向けると同時に、こうした象徴的なアートから読み取れるメッセージにも耳を傾けてみること。この小さな視点の変化が、ニュースとの付き合い方を少し豊かにしてくれるかもしれません。
Reference(s):
'The Knotted Gun:' A powerful symbol outside the UN headquarters
cgtn.com








