雪の新疆アルタイ、冬の観光ブーム 地元青年が仕掛けるホームステイ video poster
中国・新疆ウイグル自治区アルタイ地方の雪山の村で、冬になるとスキーや音楽フェス、郷土料理を目当てに観光客が集まり、かつて静かだった集落がにぎわいを取り戻しています。国際ニュースでは小さく扱われがちな変化ですが、地域経済と暮らしのかたちを静かに変えつつあります。
雪に包まれた山あいの村が「冬の観光地」に
アルタイの山あいにある村々は、長いあいだ、冬になると一面の雪に覆われ、外からの人の往来も少ない場所でした。ところが近年、こうした雪の多い地域が「冬ならではの観光地」として注目され始めています。
スキーやスノーボードを楽しむ人たちに加え、雪原を舞台にした音楽フェスティバル、地元の肉料理や粉もの料理などの郷土料理を味わうイベントが開かれ、村は季節限定の観光拠点になりつつあります。雪に閉ざされていた冬が、逆に「稼ぎどき」に変わり始めているのです。
観光学を学んだ若者、ウルムチから故郷へ
そうした変化の一端を担っているのが、地元出身の若者アブドラ・アリさんです。アブドラさんは、新疆ウイグル自治区の行政中心都市・ウルムチの大学で観光マネジメントを学びました。
卒業後、彼は大都市で働く道もありましたが、あえて雪深い故郷の村に戻ることを選びました。選んだのは、観光客を自宅などに泊めてもてなす「ホームステイ型」の観光ビジネスです。自分が学んだ観光の知識を、育った村のために生かしたいと考えたからだといいます。
SNSで話題に 満室が続くホームステイ
アブドラさんのホームステイは、毎年、初雪が降るころから本格的なシーズンを迎えます。雪景色の中にたたずむ家や、温かい部屋でくつろぐ様子、手作りの郷土料理の写真や動画が、訪れた人たちによってSNSに次々と投稿されるようになりました。
そうして口コミが広がるうちに、彼のホームステイは「映える」スポットとして人気を集めます。冬の間は満室に近い状態が続くことも多く、村の中で外から人が絶えず出入りする、にぎやかな場所になりました。
宿泊客が利用する食材や日用品は、できるだけ村の商店や農家から調達されるため、観光客のお金が地域の中を回り、地元経済にとっても大切な収入源になっています。
「帰郷」する若者が地域にもたらすもの
アブドラさんのように、一度大都市で学びや仕事を経験した若者が、あえて故郷に戻ってビジネスを始める動きは、アジア各地で少しずつ見られるようになっています。アルタイの事例は、その一つの具体的な姿だといえるでしょう。
外の世界で得た知識やネットワークを持ち帰ることで、従来のやり方に新しい発想を組み合わせることができます。とくに、SNSを通じた情報発信やオンライン予約といったデジタル技術は、辺境の村と都市部の人々を直接つなぐ強力なツールになっています。
日本の地方と重ねて考える
日本でも、豪雪地帯のスキー場や温泉地など、冬の観光資源を生かした地域づくりが各地で模索されています。若い世代が都市から地元へ戻り、ゲストハウスやホームステイ、小さな飲食店を始めるケースも増えています。
アルタイの山村で起きている変化は、日本の地方の課題とも重なる部分が少なくありません。雪と寒さという「ハンデ」と思われてきた条件を、どう魅力や物語に変えていくのか。そこに、これからの地域づくりに共通するヒントがありそうです。
静かな雪の村に、スキー板を担いだ旅行者や音楽好きの若者、そして地元の人々の笑い声が交差する冬。国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、アルタイの小さな物語は、「観光」と「暮らし」の新しい関係を考えるきっかけを与えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








