四川・涼山のイ族トーチ節 25万人が火のカーニバルで文化を祝う
中国南西部の四川省涼山イ族自治州西昌市で、イ族最大の祝祭として知られるトーチ節が始まりました。約25万人が参加したこの火の祭りは、イ族の独自の文化と「火」への敬意をダイナミックに映し出しています。
四川・涼山でイ族のトーチ節が開幕
トーチ節は、中国の少数民族の一つであるイ族にとって一年で最も重要な行事の一つです。今年(2025年)の祭りは金曜の夜に開幕し、会場となった西昌市には地元の人びとに加え、多くの観光客が押し寄せました。
初日の夜には、伝統的なイ族の歌や踊りが披露され、イ族の歴史や生活文化を伝える「無形文化遺産」の展示も行われました。日本語ニュースではあまり大きく報じられない地域行事ですが、現地では地域全体が総出で支える一大イベントです。
25万人が集った火のカーニバル
今回のトーチ節には、約25万人が参加したと伝えられています。3日間にわたる祭りのスタートから、街全体が祝祭ムードに包まれました。
- 参加者:約25万人
- 会期:3日間
- 場所:中国南西部・四川省涼山イ族自治州西昌市
- 内容:伝統芸能、無形文化遺産の展示、夜の火の行列など
こうした地域の文化行事は、国際ニュースの見出しにはなりにくいものの、地域社会のつながりや文化の継承を考えるうえで重要な手がかりを与えてくれます。
4.8キロに連なる88基のかがり火
祭りのクライマックスとなったのは、全長4.8キロに及ぶ大通りに並べられたかがり火です。88基の炎が一斉に灯されると、夜の街はオレンジ色の光に包まれました。
イ族の伝統衣装を身にまとった人びとと、各地から集まった多くの観光客が、かがり火を囲んで輪になって踊ります。イ族の民謡に合わせて手を取り合い、世代も出身地も超えた大きな輪がいくつも生まれていきました。
炎のゆらめきと歌声、太鼓のリズムが重なり合う様子は、写真や動画だけでは伝えきれない迫力があるといわれます。
火に込められた祈りと世界観
涼山はイ族が多く暮らす地域で、イ族にとって火は文化そのものを象徴する存在とされています。トーチ節は、単なる観光イベントではなく、火を通じてさまざまな願いを託す場でもあります。
人びとは炎に向かって次のような願いを重ねます。
- 家族や地域の安全と健康
- 豊かな収穫や仕事の実り
- 人と人、そして人と自然の調和
火は「厄を焼き払い、幸運を呼び込む力がある」と考えられており、かがり火の明かりは、新しい一年を照らす希望の象徴でもあります。
国の無形文化遺産としてのトーチ節
トーチ節は、旧暦6月24日または25日にあたる時期に行われるのが通例で、イ族最大の祝祭とされています。2006年には、中国の「国家級無形文化遺産」に登録され、形のない文化を守る取り組みの一つとして位置づけられました。
無形文化遺産とは、舞踊や音楽、祭り、工芸技術など、目に見える建物ではなく、人びとの技や慣習として受け継がれてきた文化を保護するための仕組みです。トーチ節の場合、火を中心にした世界観、歌や踊りのスタイル、衣装や儀礼などが、次の世代に伝えるべき文化として評価されています。
日本からこの祭りをどう見るか
日本にも、火を使った祭りや行事が数多くあります。お盆の迎え火や送り火、夏の花火大会、山の斜面に火文字を描く行事など、火を通じて先人や自然とつながろうとする点では、イ族のトーチ節と通じるところがあります。
一方で、トーチ節のように少数民族の文化が、大規模な祭りとして今も生きている姿は、民族的な多様性を持つ中国南西部ならではのものでもあります。観光客が増えることで経済効果が生まれる一方、地域の人びとが自分たちの文化の意味を問い直し、どう守り伝えていくかを考える契機にもなっています。
国際ニュースを日本語で追うとき、軍事や経済だけでなく、こうした地域の文化や祝祭にも目を向けることで、隣国の社会をより立体的に理解することができます。炎に託されたイ族の祈りは、私たちが暮らす社会のあり方や、自然との付き合い方を静かに問いかけているのかもしれません。
Reference(s):
Light it up! Torch carnival hails unique ethnic culture in SW China
cgtn.com








