バードネスト・アートフェスで光る古筝の響き 若手奏者が描く『白蛇伝』 video poster
中国の伝統楽器・古筝(グーチェン)の生演奏を、美術展の会場で聴くとどんな体験になるのでしょうか。今年のバードネスト・アートフェスティバルでは、若手古筝奏者Zhao Jiayiさんによる『白蛇伝(The Legend of the White Snake)』の演奏が披露され、音楽と物語、風景表現を組み合わせた没入型のステージが印象的な一幕となりました。
展覧会の中で響く古筝、その「生」の迫力
今回紹介する古筝パフォーマンスは、コンサートホールではなく展覧会の一角で行われました。来場者は作品や展示物を楽しむ流れの中で、ふと古筝の音色と出会います。「展覧会で聴く生演奏」という形式は、通常の客席に座って聴くコンサートともストリーミング視聴とも違う体験となり、空間そのものが音楽の一部として感じられます。
カメラが導く風景と西湖の物語
ステージでは、カメラの視点がひとつの鍵になっています。映像のカメラが観客を導くように、古筝の弦からこぼれる音にあわせて、どこか古い山水画を思わせる風景のイメージや、西湖にまつわる物語の世界が広がっていきます。単に舞台上の奏者を見るのではなく、音と視線と物語が重なり合うことで、一つの長い旅をしているかのような感覚が生まれます。
- 古筝の細やかな音色が、山や水辺の静かな風景を想像させる
- 西湖を舞台にした物語が、演奏の流れの中で自然に立ち上がる
- カメラの視点が、観客の「どこを見るか」をさりげなく誘導する
若手古筝奏者 Zhao Jiayi さんが描く『白蛇伝』
このステージを担ったのは、若い古筝奏者のZhao Jiayiさんです。Zhaoさんが演奏した楽曲は、古くから語り継がれてきた物語『白蛇伝』を題材にしたもの。西湖で出会う白蛇と青年の物語は、東アジアを代表する恋愛譚のひとつとして知られており、音楽の世界でもたびたび取り上げられてきました。
物語をテーマにした古筝曲では、登場人物の心情や物語の転換点が、音の強弱やテンポの変化として表現されます。Zhaoさんの今回の演奏も、静かな場面と緊張感が高まる場面のコントラストがはっきりしており、物語を詳しく知らない観客にとっても、音楽だけで展開の流れを感じ取れる構成になっています。
伝統音楽と没入型アートが交わる先に
今回の古筝パフォーマンスが示しているのは、伝統音楽が展示や没入型アートと結びつく新しい潮流です。2025年のいま、世界各地のアートフェスティバルでは、音楽・映像・空間演出を組み合わせた企画が増えています。バードネスト・アートフェスティバルでの試みも、その流れの中に位置づけることができるでしょう。
スマートフォンで短い動画クリップを日常的に見る世代にとって、音楽体験もまた視覚表現と切り離せなくなりつつあります。今回のように、カメラの視点や物語性を取り込んだ古筝演奏は、伝統楽器を初めて知る人にとっても開かれた入口になりそうです。一方で、音だけに意識を向けて耳を澄ませば、弦の一音一音の余韻の深さにも改めて気づかされます。
静かな展示空間に響く古筝の音と、西湖をめぐる物語。バードネスト・アートフェスティバルで切り取られたこの一幕は、2025年のアジア文化の現在地を映し出す小さな窓でもあります。国や地域を超えて共有される物語と音楽の力について、そっと考えさせてくれるステージと言えそうです。
Reference(s):
A glimpse of guzheng artistry at the Bird's Nest Art Festival
cgtn.com








