北京UCCAで色彩の小宇宙 スイス作家ピピロッティ・リスト個展 video poster
北京の798芸術区にあるUCCA現代芸術センターで、スイス人アーティスト、ピピロッティ・リストさんの個展『Your Palm Is My Universe』が開催されています。国際ニュースとしても注目される、色彩と音に包まれる没入型の現代アート体験です。
北京・798芸術区が「色彩のマイクロワールド」に
会場となるUCCAのギャラリー全体は、まるで夢の中に入り込んだような「カラフルな小宇宙」へと姿を変えています。フロアや壁だけでなく、空間そのものが作品として設計されているのが特徴です。
柔らかく、肌のような質感を思わせる布が天井から垂れ下がり、来場者はそのあいだをくぐり抜けながら歩きます。照明は落とされ、代わりにさまざまな映像が投影され、ループ再生され続けます。光の色がゆっくり変化し、形が揺らぎ続けることで、時間の感覚がふっと曖昧になるような感覚が生まれます。
布、映像、音が重なり合う没入型インスタレーション
この個展の大きなポイントは、視覚だけでなく、触覚や聴覚にも働きかけるインスタレーションであることです。肌ざわりを想像させる布地の存在が、映像作品に「身体感覚」を与え、スクリーン越しでは得られない距離感をつくり出しています。
場内にはミュージシャン・Surmaによるレイヤー状のサウンドスケープ(音響空間)が流れ、低い音、高い音、環境音のようなノイズが何層にも重なり合います。音は特定の方向からだけではなく、空間全体からにじみ出てくるように聞こえ、映像と布の動きとともに、来場者の感情や記憶を静かに揺さぶります。
デジタル時代の「没入体験」と現代アート
スマートフォンの画面越しに多くの情報を消費する私たちにとって、「空間そのものの中に入っていくアート」は、いまや特別な体験になりつつあります。今回のような没入型の展示は、単なるフォトスポットではなく、自分の感覚をチューニングし直す場としても捉えられます。
色や音に包まれながら、自分の体の動きや呼吸、他の来場者との距離を意識することで、「世界をどう感じているのか」という問いが自然と立ち上がってきます。タイトルが示す「手のひら」と「宇宙」というスケールの対比も、日常のごく小さな感覚と、広大な世界とのつながりをさりげなく意識させます。
北京発の現代アートを日本語でどう受け止めるか
スイス出身のアーティストによる個展が、2025年現在、北京のUCCAで開催されていることは、国と地域をまたぐ文化交流のひとつの姿でもあります。国際ニュースとして現代アートを追いかけることは、政治や経済のニュースとは違う角度から世界の変化を感じ取るきっかけになります。
日本語でこの展示の情報に触れることで、実際に北京を訪れる人だけでなく、オンラインで写真や動画を見る人にとっても、「自分ならこの空間で何を感じるだろう」という想像の余地が広がります。会場を訪れた記者は、アーティストのスタジオマネージャーへの取材も行っており、作品の背景には丁寧な制作プロセスとチームワークがあることがうかがえます。
忙しい日常から半歩抜け出すためのヒント
こうした没入型の現代アートを味わうときには、作品を「正しく理解しよう」と身構えすぎず、まずは色、音、温度感など、五感に届いてくるものをそのまま受け取ってみるのがおすすめです。
- しばらく立ち止まり、同じ映像がループするあいだ、自分の感情の変化を観察してみる
- 布の揺れや音の重なり方など、細部に意識を向けてみる
- 一緒に来た人と「どんな世界にいるように感じたか」を言葉にしてみる
そうした小さな試みを通じて、展示空間は単なる「きれいな場所」から、自分自身の感覚や世界の見方を静かに問い直す場へと変わっていきます。SNSで写真や感想をシェアする際にも、「何を感じたのか」という一言を添えてみると、オンライン上の会話も少し豊かになるはずです。
Reference(s):
cgtn.com








