東のカーニバル、トーチフェスティバル 山を照らす炎とイ族の祈り
毎年夏、Daliang山脈の夜を何千ものたいまつの光が埋め尽くします。イ族の人々にとって「トーチフェスティバル(Torch Festival)」は、単なる祭りではなく、火を通じて大地と先祖、そして次の世代を結び直す大切な時間です。
東のカーニバルと呼ばれる光の祭り
トーチフェスティバルは、しばしば東のカーニバルとも呼ばれます。夜になると、参加者は山へと集まり、一本一本のたいまつに火をともします。暗闇の中に浮かび上がる炎の列は、遠くから見るとまるで山全体が動き出したかのように見えるといわれます。
人々は色鮮やかな手織りの衣装に身を包み、音楽に合わせて歩き、歌い、踊ります。光、音、そして人の動きが重なり合い、Daliang山脈の夏の夜が一体の「カーニバル」として立ち上がります。
Daliang山脈を照らすたいまつの列
トーチフェスティバルの光景を形づくるのは、「たいまつ」と「山」というごくシンプルな要素です。それでも、そこには現代の都市生活ではなかなか味わえないスケール感と一体感があります。
- 夜空の下、数え切れない人々がたいまつを掲げて山道を進む
- 炎が連なり、山の斜面に揺れる光の帯が生まれる
- 音楽と足音が重なり、山全体が一つのステージのようになる
2025年の今も、こうした光景は毎年のように繰り返され、人々の記憶に刻まれていきます。
イ族にとって火は「守り」と「祈り」
イ族の人々にとって、火は単なる道具ではありません。トーチフェスティバルは、火への特別な思いを形にした時間でもあります。
火は、悪いものを追い払う力を持つと信じられています。たいまつの炎は、目に見えない邪気を遠ざけ、大地を清め、作物や家族に恵みをもたらすものとして受け止められています。また、炎を囲んで過ごす時間そのものが、世代を超えた記憶の継承の場にもなっています。
子どもたちは、炎のゆらめきを見つめながら、大人たちから祭りの意味や昔話を聞きます。そうして、火を大切にする心や、共同体の記憶が静かに引き継がれていきます。
デジタル時代に考えたい「火」の時間
スマートフォンの画面が生活の中心にある2025年、Daliang山脈のトーチフェスティバルは、あらためて火と人との距離を考えさせてくれる出来事でもあります。人工の光に囲まれた都市生活とは対照的に、ここではたいまつの炎が、夜を照らす唯一の光として人々を結びつけます。
都市に暮らす私たちへのヒント
- 自然のリズムに合わせて、年に一度「原点に返る」時間を持つこと
- 世代をまたいで同じ行事を共有し、記憶をつないでいくこと
- 光に頼るだけでなく、暗さや静けさも味わう余白を持つこと
トーチフェスティバルは、国際ニュースとして見れば一つの伝統行事ですが、同時に、私たち自身の暮らし方や、何を大事に生きていくかを問い直すきっかけにもなり得ます。
「見に行く」だけでなく「想像する」国際ニュースへ
遠く離れたDaliang山脈の夏の夜に、無数の炎が揺れている。その情景を思い浮かべてみるだけでも、私たちは自分とは異なる時間の流れや価値観に、少しだけ触れることができます。
国際ニュースは、必ずしも「どこへ行くか」だけではなく、「何を想像し、どう受け止めるか」という読み方もできます。トーチフェスティバルという光の祭りを通じて、世界のどこかで今も続いている祈りや喜びに、静かに思いを寄せてみるのも一つの楽しみ方ではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








