チベット布絵画に新風 女性画家ソナム・ペマが描く高原の精神世界 video poster
チベット布絵画に吹き込まれる新しい息吹
チベットの豊かな伝統芸術のなかで、布を支持体にして鮮やかな絵の具を重ねる「cloth-based heavy color painting(布ベースの重彩画)」が、いま静かな注目を集めています。雪に覆われた高原に根ざした地元のアーティストたちが、この古い表現に新たな命を吹き込みつつあります。
その中心にいる一人が、チベット出身の女性画家ソナム・ペマさんです。ペマさんは独自の視点と創造的な技法で、高原で暮らす女性たちの精神世界を、大胆で力強い色彩によって描き出しています。
布ベースの重彩画とはどんな表現か
「布ベースの重彩画」は、キャンバスではなく布に下地をつくり、その上から絵の具を何層にも重ねていくのが特徴です。色は濃く、質感は厚く、画面全体に強い存在感が生まれます。
チベットの宗教的なモチーフや日常の風景ともなじみが深く、伝統的には祈りや物語を伝える役割も担ってきたとされます。ペマさんは、この技法を受け継ぎながら、現代の女性たちの感情や内面を表すメディアとして再解釈しています。
高原の女性たちの精神世界を描く
ペマさんの作品に登場するのは、厳しい自然環境のもとで暮らす高原の女性たちです。強風や雪にさらされる日常のなかにも、家族を支え、祈りを捧げ、ときに静かに微笑む姿が描かれます。
そこには、外からは見えにくい「精神世界」が重ねられています。孤独や不安だけでなく、誇り、連帯感、未来への希望といった感情が、鮮やかな赤や青、金色などの色彩として画面に立ち現れます。
大胆な構図と強いコントラストを持つ色づかいは、見る側に「高原で生きるとはどういうことか」を静かに問いかけます。
伝統と現代性をつなぐ試み
ソナム・ペマさんの創作は、単に古い技法を守るだけではありません。布ベースの重彩画という伝統に、現代の視覚感覚やテーマを組み合わせることで、新しい表現を切りひらいています。
- 伝統的な技法やモチーフを踏まえつつ、構図や色彩は自由に再構成する
- 高原の女性たちの日常や感情を主役に据えることで、これまで可視化されにくかった視点を前面に出す
- 重厚な塗りと鮮烈な色を活かし、現代アートとしても通用する視覚的インパクトを生み出す
こうした試みが、チベットの伝統芸術を過去のものではなく、「今、ここにある表現」として更新しています。
CGTN記者がラサで見たもの
この新しい動きを追いかけるため、中国の国際メディアCGTNの記者であるXiong Huizhongさんは、ラサまで足を運びました。現地でペマさんの制作現場や作品に直接触れ、その魅力を伝える取材を行いました。
高原の都市ラサで生まれつつあるアートの変化を、現場から丁寧に伝えるこうした報道を通じて、ペマさんの作品や布ベースの重彩画の世界は、チベットの外に暮らす私たちにも届きつつあります。
遠くの高原から届く「身近な問い」
ソナム・ペマさんの絵画は、一見すると遠い高原の物語に見えます。しかし、画面に表れるのは、働くこと、家族を支えること、自分の生き方を模索することなど、多くの人が共感できるテーマでもあります。
伝統と現代、地域性と普遍性。その交差点に立つチベットの布絵画は、2025年の私たちに、「自分の暮らす場所の物語を、どのように未来へ手渡していくのか」という問いを静かに投げかけているようです。
Reference(s):
cgtn.com








