国連80周年とレバノンの陶芸家 土から始まる平和への抗議 video poster
国連創設80周年を記念して、レバノンの陶芸家サマル・ムガーベルさんが「平和」をテーマにしたメッセージを発信しています。戦火に囲まれてきた人生から生まれた彼女の作品は、静かで個人的な「戦争への抗議」でもあります。
国連80周年に寄せる、レバノンの声
今年、国際社会の枠組みを支えてきた国際連合は創設から80年という節目を迎えました。その記念の場で、レバノン出身の陶芸家サマル・ムガーベルさんは、自身の経験とともに「平和」について語っています。
長年、紛争と隣り合わせの環境で生きてきたムガーベルさんにとって、陶芸はただの仕事ではなく、戦争に「ノー」と言うための、深く個人的な表現手段だといいます。
土と向き合うことが「平和」へのプロテストに
壊れやすさと強さを併せ持つ器
ムガーベルさんは、自身の陶芸を「戦争への抗議」だと表現します。焼き上がった陶器は壊れやすく見えますが、適切に焼成されれば長く残り、世代を超えて受け継がれます。その姿は、傷つきながらも生き続ける人々の姿と重なります。
作品を通じて彼女が発しているのは、派手なスローガンではなく、「私たちは戦争以外の生き方を選びたい」という静かな意思表示です。
粘土と向き合う時間は「瞑想」
ムガーベルさんにとって、粘土をこねる時間は瞑想のようなものだといいます。外の世界のざわめきから距離を取り、自分の内側を見つめるための時間です。
手を動かし、土の感触に集中していると、思考が静まり、心に少しずつ自由が戻ってくる——。彼女は、その内側の静けさこそが、平和への第一歩だと考えています。
若い世代へのメッセージ:スクリーンから目を離してみる
ムガーベルさんが特に強調するのが、若い世代へのメッセージです。彼女は、「スクリーンを見るのをやめて、リアルな世界とつながり直してほしい」と呼びかけています。
スマートフォンやパソコンの画面越しに情報を追い続けていると、自分の感覚や、目の前にある自然の存在を忘れてしまいがちです。彼女は、土や木、石、水といった「触れられる世界」にもう一度戻ることが、内面的な平和を育てる鍵だと見ています。
- 外で土や木に触れてみる
- 一日のどこかで、意識的にスクリーンから離れる時間をつくる
- 頭の中のざわめきを紙に書き出し、自分の気持ちを振り返る
こうした小さな行動が、ムガーベルさんの言う「自分の中から始まる平和」につながっていくのかもしれません。
「平和は自分の内側から」アートが投げかける問い
国際ニュースでは、紛争や対立のニュースが頻繁に流れますが、ムガーベルさんのメッセージは、平和を「遠いどこかの話」ではなく、自分の生き方の問題として捉え直すきっかけになります。
私たちは、日常の忙しさや情報の多さに押されて、自分の内側を見つめる時間を後回しにしがちです。しかし、ひとりのレバノンの陶芸家は、土をこねるというささやかな行為を通じて、「平和はまず自分の中から始まる」というシンプルで深い問いを投げかけています。
国連創設80周年の節目に届けられたこの声は、画面の向こう側でニュースを見ている私たちにも、「自分は日々、どんな世界をつくろうとしているのか」をそっと問いかけているようです。
Reference(s):
cgtn.com








