国連80周年とブルーオーシャン ケニア系英国人陶芸家が海に託すメッセージ video poster
2025年、創設80周年を迎えた国連をきっかけに、ケニア系英国人の陶芸家メーガン・ホワイトさんが、自身のライフワークであるブルーオーシャンの作品を通じて海洋保護のメッセージを発信しています。本稿では、その国際ニュースの背景と、アートが海をめぐる私たちの視点をどう変えうるのかを整理します。
国連80周年とブルーオーシャンというテーマ
国連創設80周年は、戦争や貧困だけでなく、気候変動や海洋汚染といった地球規模の課題をあらためて見つめ直す節目でもあります。ホワイトさんは、この節目に合わせて、長年取り組んできたブルーオーシャンというテーマを前面に押し出し、私たちに海と人との関係を問いかけています。
ブルーオーシャンは単なる青い海のイメージではありません。彼女にとっては、目に見えにくい海の豊かさや、そこに生きる生物たちの気配まで含んだ、広く深い世界を指す言葉です。
ケニアの海で育った陶芸家のまなざし
ホワイトさんは、ケニアの海岸で育ちました。幼い頃から海と近くで接してきたことで、海は彼女にとって非常に個人的で、感情的なつながりを持つ存在になりました。この深い結びつきが、現在の作品世界を大きく形づくっています。
陶芸という、土と火を扱う表現を選んでいることも象徴的です。大地から生まれた素材で、海の世界を表現する。そのプロセス自体が、陸と海、人間と自然がつながっているというメッセージとして読み取ることができます。
見過ごされてきた海の生き物に光を当てる
ホワイトさんの作品がとくに焦点を当てているのは、甲殻類やロブスター、カキといった、日常生活ではあまり注目されない海の生き物たちです。派手な魚や壮大な海の景色ではなく、どちらかといえば脇役と見なされがちな存在に、彼女はあえて美しさを見いだします。
その狙いは、人々の美しさに対する感覚そのものを揺さぶることにあります。これまで気にも留めてこなかった形や質感、色合いに目を向けることで、私たちは海を新しい目で見直すことになります。それは同時に、海に対する責任や、見えにくい問題に対しても想像力を働かせるきっかけになります。
海を守ることは私たち自身を守ること
ホワイトさんがブルーオーシャンを通じて伝えようとしているメッセージは明快です。海を守ることは、私たち自身を守ることであり、これから生まれてくる世代の未来を守ることでもある、という点です。
海は、食料や資源の供給源であるだけでなく、気候や天候、さらには文化やアイデンティティにも大きな影響を与えています。一方で、プラスチックごみや化学物質による汚染、乱獲など、さまざまな負荷が積み重なっています。こうした問題は、遠いどこかの話ではなく、やがて私たち自身の暮らしに跳ね返ってくるものです。
だからこそ、彼女は海を守ることは自分たちを守ることというメッセージを作品に託します。言葉で直接訴えるのではなく、作品と向き合う体験を通じて、その実感をゆっくり育てていこうとしているように見えます。
アートから始まる小さなオーシャンアクション
国際ニュースとして海洋保護をめぐる議論や会議が繰り返される一方で、個人にできることは何かと戸惑う人も少なくありません。ホワイトさんの作品は、その問いに対して、次のような小さな一歩を示しているといえます。
- 海や海の生き物を、これまでとは違う目で見てみる
- 見えにくい存在や声なき存在に、意識的に想像力を向ける
- 日常の選択で、海への負荷を減らす行動を少しずつ増やす
アートには、正解を提示するのではなく、見る人に静かな問いを投げかけ、考えるきっかけをつくる力があります。国連創設80周年という節目にあわせたホワイトさんのブルーオーシャンの試みは、海をめぐる問題を、数字やスローガンだけでなく、自分ごととして感じ直すためのひとつの入口になっていると言えるでしょう。
忙しい日常の中でも、ふと海のことを思い出し、自分の行動を少しだけ変えてみる。その小さな変化が積み重なれば、ブルーオーシャンの未来も、私たち自身の未来も、少しずつ違ったものになっていくかもしれません。
Reference(s):
UN@80: A Kenyan-British ceramicist's plea for the Blue Oceans
cgtn.com








