戦火のなかの芸術 中国の「Yellow River Cantata」はなぜ80年以上響き続けるのか video poster
戦火のただ中でも、人びとは歌い、奏で、物語を紡いできました。国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとっても、中国の歴史や文化を理解するうえで重要な手がかりとなるテーマです。中国の音楽作品「Yellow River Cantata(イエロー・リバー・カンタータ)」の歩みをたどることは、文化がどのようにして破壊ではなく希望を生み出すのかを考えるヒントになります。
「Art Amid the Flames」――炎の中の芸術を追うシリーズ
シリーズ「Art Amid the Flames」では、抗戦期(War of Resistance)に、中国の芸術家や研究者、文化機関がどのように文化と創造性を保ち続けたのかを掘り下げています。戦闘が続く極限状況の中でも、文化や教育を手放さなかった人びとの姿が軸になっています。
その第1回で取り上げられるのが、音楽家Xian Xinghaiによる「Yellow River Cantata」です。1939年に作曲されたこの作品は、戦火の中で生まれた音楽が、同時代の人びとだけでなく、後の世代にも語りかけ続けていることを示します。
1939年、中国の音楽家Xian Xinghaiが生み出した作品
「Yellow River Cantata」は、1939年に音楽家Xian Xinghaiが作曲した作品です。タイトルが示すイメージを通じて、単なる風景描写にとどまらず、人びとの感情や連帯を歌い上げる構成になっているとされます。
この曲の大きな特徴は、西洋の交響曲スタイルと、中国の民間伝承に根ざした音楽を融合している点です。オーケストラを思わせる重厚な響きと、民謡のような親しみやすい旋律が重なり合うことで、
- 異なる音楽文化の橋渡しをすること
- 大人数で歌う合唱によって「共に声を上げる」感覚を生むこと
- 鑑賞する人だけでなく、歌う人自身も励ますこと
といった役割を果たしてきました。
戦火の中で生まれた「レジリエンス」と「希望」の象徴
シリーズのテーマである「炎の中の芸術」という言葉どおり、「Yellow River Cantata」は、戦火という極限状態の中で創作されました。それでもなお、この作品は破壊ではなく「レジリエンス(しなやかな回復力)」と「集団としての希望」を象徴する存在として語られています。
抗戦期の人びとは、日常が失われていく中で、
- 自分たちの物語を自分たちの言葉と音で表現すること
- 困難な状況でも互いに励まし合うこと
- 未来は変えられるという感覚を手放さないこと
を、音楽や舞台芸術を通じて実践していました。「Yellow River Cantata」は、その象徴的な例として位置づけられています。
80年以上たった2025年のいまも響き続ける理由
1939年の作曲から80年以上たった2025年のいまも、「Yellow River Cantata」はレジリエンスと集団的な希望の象徴であり続けています。戦争という特定の時代状況を超えて、次のような問いを私たちに投げかけているからです。
- 社会が大きく揺らぐとき、文化や芸術は何ができるのか
- 困難な時代に生まれた作品を、後の世代はどう受け継ぐのか
- 異なる文化や音楽のスタイルをつなぐことで、どんな新しい表現が生まれるのか
国際ニュースとしてこの作品を振り返ることは、特定の国や時代の物語を超えて、世界各地でいまなお続く不安や分断の中で、私たちがどのように希望を見いだすのかを考えるきっかけにもなります。
「炎の中の芸術」が教えてくれること
「Art Amid the Flames」は、中国の芸術家、研究者、文化機関が、抗戦期という困難な時代にどのように文化と創造性を守り抜いたかを追う試みです。その第1回に「Yellow River Cantata」が選ばれていることは、音楽が単なる娯楽ではなく、人びとの心を支える土台として機能しうることを示しています。
私たち一人ひとりにとっても、
- 不安なニュースが続くときこそ、音楽や物語に耳を傾けること
- 自分の言葉や表現で、身近な人と経験を分かち合うこと
- 異なる背景を持つ人びとの表現に触れ、想像力を広げること
は、レジリエンスを育てる具体的な行動になりえます。
戦火の中で生まれた「Yellow River Cantata」が、2025年の私たちに静かに語りかけているのは、「どれほど厳しい状況でも、人間は歌うことをやめない」というシンプルだが力強いメッセージなのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








