犬も無視?天津・狗不理包子とロシア人形が出会うとき video poster
ロシア人形が迷い込んだ天津の伝説の包子
中国・天津市の名物として知られる狗不理包子の店先に、ロシアのマトリョーシカ人形がちょこんと置かれました。観光客でにぎわう有名な小吃街、まさに天津を代表するスナックストリートです。
そこで浮かんだのが、こんな遊び心のある問いかけです。犬さえ見向きもしないと誤解されがちなこの包子を、犬は本当に無視するのでしょうか。それとも、薄い皮とたっぷりの肉汁、18のひだが生み出す花のような美しさは、誰もが惹きつけられるものなのでしょうか。
天津名物・狗不理包子とは
狗不理包子は、天津を代表する蒸しパン型の点心です。特徴は、口当たりのよい薄い皮と、かぶりつくとあふれ出すジューシーなあん。さらに上部には細かいひだが丁寧に寄せられ、その数は18といわれています。
18のひだは、ただの飾りではありません。ぐるりと均一に寄せられたひだは、まるで花びらが開いたような形をつくり、皿の上を小さな花畑のように見せてくれます。職人の手仕事の精密さと、食べ物を美しく見せたいという心づかいが、ひとつの包子の中に層のように重なっています。
犬も無視する包子?名前に込められたユーモア
店名の狗不理は、文字どおりに受け取ると、犬が相手にしない、犬も構わないというニュアンスに聞こえます。このイメージから、犬も無視する包子というニックネームが生まれがちです。
しかし、目の前に並ぶ包子は、むしろ人の五感を刺激する存在です。蒸したての湯気、肉と調味料の香り、白くふっくらとした生地。もし犬がそばにいたら、本当にそっぽを向くだろうか、と想像したくなります。名前と実物とのギャップが、訪れる人の会話を弾ませる一種のユーモアになっています。
18のひだとマトリョーシカ 層の美しさを味わう
今回の物語を特別なものにしているのが、ロシアのマトリョーシカ人形の存在です。外側の人形を開けると、さらに小さな人形が次々と現れるマトリョーシカは、まさに層の重なりそのものを体現した工芸品です。
一方、狗不理包子もまた、層の美しさを持っています。薄い生地を何度も折りたたみ、丸く伸ばし、具を包み込んで18のひだを寄せる。そのプロセスは、目には見えない生地の層と、見た目にわかるひだの層を同時につくる作業です。
見た目の層 花の形と入れ子人形
マトリョーシカ人形が包子の隣に並ぶと、二つのモチーフが響き合います。包子の上に咲いた白い花のようなひだと、色鮮やかな模様をまとった人形。どちらも、外から内へと視線を誘い込むデザインです。
ひとつの包子の中にも、ひとつの人形の中にも、外見だけではわからない層が隠れています。その重なりを想像すること自体が、食べる前の楽しみ、眺める楽しみになっているのかもしれません。
物語の層 異文化が重なる楽しさ
天津のスナックストリートでロシアの人形が包子と並ぶ光景は、文化と文化が出会う瞬間でもあります。名前の面白さ、見た目の美しさ、食べたときの驚き。それぞれの層が重なり合って、ひとつのストーリーを形づくっています。
国や言葉が違っても、ユーモアやおいしいものを前にしたときの高揚感は共有できます。狗不理包子とマトリョーシカの出会いは、そんな共通感覚を静かに思い出させてくれます。
犬は無視しないかもしれない 私たちも名前だけで判断しない
犬も無視する、と冗談まじりに語られがちな狗不理包子ですが、その実像は、薄い皮とジューシーなあん、18のひだが織りなす繊細な点心です。名前だけを聞いて通り過ぎてしまうには、あまりにももったいない存在だといえるでしょう。
旅先で不思議な名前の料理や店に出会ったとき、その言葉遊びや背景にある物語に少しだけ耳を傾けてみる。そうすることで、私たちの世界の見え方も、マトリョーシカや包子のように、もう一層、豊かに重なっていくのかもしれません。
Reference(s):
Can dogs really resist these buns? A Russian doll finds out in Tianjin
cgtn.com








