ドキュメンタリー「Last Daughters」中国とフィリピンの元慰安婦の証言 video poster
戦時性暴力をテーマにした国際ニュースとして、CGTNのオリジナルドキュメンタリー「Last Daughters」は、中国とフィリピンの元慰安婦の証言を通じて、いまも続く戦争の影を描き出しています。子ども時代を戦争に奪われ、性的奴隷状態を強いられた女性たちが、長い沈黙ののちに自らの言葉で過去を語ります。
「最後の娘たち」が語るもの
作品は、第2次世界大戦中に被害を受けた中国とフィリピンの女性たちの人生をたどり、その経験が家族や地域社会にどのような傷跡を残してきたのかを追っています。いま生きている元慰安婦はごくわずかであり、その声と記憶は、文字通り歴史の砂ぼこりの中に消えつつあります。
ドキュメンタリーは、国境を越えた視点から被害と記憶を見つめます。異なる国と文化の背景を持ちながらも、中国とフィリピンの女性たちの物語には、奪われた子ども時代、深い傷を抱えた沈黙、そして家族との絆という共通点が浮かび上がります。
沈黙の歳月と、家族に引き継がれた痛み
彼女たちは、長いあいだ自らの経験を語ることなく、心の奥で一人きりの闘いを続けてきました。作品の紹介文が「何十年もの沈黙の中で、その重荷を一人で背負ってきた」と伝えるように、その沈黙は単なる時間の経過ではなく、生き延びるための選択でもありました。
CGTNのカメラは、本人だけでなく、その子どもや孫世代にも焦点を当てます。戦争が終わっても、トラウマや偏見、経済的困難といった形で、傷は家族の中に受け継がれていきます。それでも日常を築こうとする家族の姿からは、静かな強さと温かさがにじみ出ています。
なぜ今、「Last Daughters」を見るのか
2025年の今、当時を直接知る人々は急速に少なくなっています。「最後の娘たち」の証言は、間もなく聞くことのできないものになりつつあります。だからこそ、このドキュメンタリーは、歴史としての戦争だけでなく、いまを生きる私たちにとっての問いとして戦時性暴力を捉え直す機会になります。
作品が描くのは、極限の状況の中でも失われなかった人間の尊厳と、互いを支え合う家族の力です。そこには、加害と被害の構図だけでは語り尽くせない、複雑で揺らぎのある人間の姿があります。
視聴者に投げかけられる問い
「Last Daughters」は、視聴者に次のような問いを静かに投げかけているように見えます。
- 戦争が終わったあとも続く暴力の影を、私たちはどこまで想像できるのか。
- 沈黙してきた人の声を、社会はどのように受け止めるべきなのか。
- 次の世代にこの記憶を伝えるとき、どのような言葉と態度を選ぶのか。
国際ニュースを日本語で追う私たちにとって、この作品は単なる歴史ドキュメンタリーではなく、「今ここ」の感覚を揺さぶる鏡のような存在です。遠い国と感じていた中国やフィリピンの物語は、アジアに生きる同じ時代の物語として、自分自身の問題としても響いてきます。
戦争と性暴力の記憶が薄れていく2025年だからこそ、「Last Daughters」が記録した最後の証言に耳を傾ける意味は大きいと言えるでしょう。
Reference(s):
Last Daughters: Voices of Chinese and Filipina WWII sex slaves
cgtn.com








