中国・随州「シイタケの都」がギネス記録に 農村を変えた富のキノコ video poster
中国中部・湖北省随州市の随県(Suixian County)が、いま「シイタケの都」として国際ニュースでも注目されています。シイタケ栽培・加工・輸出の一大拠点となり、2025年にはギネス世界記録にも認定されました。地方の一品目が、どのようにして何十万人の暮らしを支える産業へと育ったのでしょうか。
中国中部・随州はなぜ「シイタケの都」なのか
随県は、中国中部の湖北省随州市にある地域で、シイタケ栽培・加工・輸出の拠点として広く知られています。中国国内でも最大規模のシイタケ産地の一つとされ、現地ではシイタケを「富のキノコ」と呼ぶ人もいるほどです。
その背景には、次のような条件が重なっています。
- シイタケ栽培に適した豊かな自然環境
- 長年にわたるキノコ栽培の歴史と経験
- 栽培から加工・輸出までを支える技能を持つ人材
単に原木で育てて出荷するだけでなく、乾燥や加工、輸出までを視野に入れた「産業」としてシイタケに取り組んできたことが、現在の姿につながっていると考えられます。
10万人超の農家が関わり、30万の雇用を創出
随県では、現在10万人を超える農家がシイタケ栽培に従事しているとされています。シイタケは、農家にとって現金収入を得やすい作物の一つであり、地域の重要な収入源になっています。
さらに、この「シイタケ経済」は栽培だけにとどまりません。産地では、シイタケをめぐっておよそ30万の雇用が生まれているとされます。内訳としては、例えば次のような仕事が想像できます。
- 菌床(きんしょう)づくりやハウス管理などの栽培関連
- 乾燥・選別・品質検査といった加工工程
- パッケージデザインや梱包作業
- 国内外の販路開拓や輸出実務
こうした多様な仕事が組み合わさることで、農村での雇用の場が広がり、地域の暮らしを支える土台になっています。
ギネス世界記録が後押しする「シイタケブランド」
2025年、随県の産業発展サービスセンターは、ギネス世界記録から「展示されたキノコ料理の種類が世界最多」と認定されました。多種多様なキノコ料理を一堂に並べることで、新たな記録が生まれた形です。
この記録は、単なる話題づくりにとどまらず、シイタケ産地としてのブランド力を高める効果が期待されます。
- 「シイタケの都」として国内外のメディアに取り上げられるきっかけになる
- 産地のストーリー性が増し、商品や料理への付加価値が高まる
- 産地全体として「シイタケといえば随県」というイメージを共有しやすくなる
農産物の世界では、品質だけでなく「どこで、どのように作られているのか」という物語性が重視されるようになっています。ギネス世界記録は、その物語をわかりやすく伝える象徴的なタイトルの一つといえます。
国際ニュースとして見る「シイタケ産業」の意味
随県のシイタケ産業は、単なる地域ニュースを超えた広がりを持っています。国際ニュースという視点から見ると、いくつかのポイントが浮かび上がります。
- 輸出産業としての側面:随県はシイタケの栽培だけでなく、加工・輸出の基地ともされています。キノコは軽量で保存もしやすく、国境を越えて流通しやすい食品です。
- 健康志向の高まりとの相性:シイタケは、低脂肪でうま味が強い食品として世界各地で親しまれています。健康志向の高まりの中で、こうした食材への注目は今後も続くと見られます。
- 農村振興モデルとしての注目:一つの作物を軸に栽培・加工・輸出・飲食まで産業チェーンを伸ばしていく随県の取り組みは、農村振興の一つのモデルとしても位置づけられます。
世界の視点から見ると、「地方の一品目」が国際市場につながり、地域の雇用と所得を支える事例として読み解くことができます。
日本の地方と重ねて考える:一次産業×ストーリー
日本でも、果物、海産物、発酵食品など、特定の産品に力を入れて地域ブランドを育ててきた例は少なくありません。随県のシイタケの物語は、そうした動きと重ね合わせて考えることもできます。
随県の事例から、日本の地方が参考にできそうな視点をあえて挙げるなら、次のような点が見えてきます。
- 「量」だけでなく、歴史や文化を含めたストーリーで産品を語る
- 栽培・加工・販売・飲食をつなぎ、関わる人の裾野を広げる
- ギネス記録のようなわかりやすいシンボルで話題をつくる
もちろん、地域ごとに条件も規模も異なりますが、「一つの作物をここまで育てられる」という具体例は、日本の地方にとっても考えるヒントになりそうです。
これからの「富のキノコ」と地域のゆくえ
2025年現在、随県のシイタケは、地元の人々にとって暮らしを支える「富のキノコ」として重要な役割を果たしています。一方で、今後は持続可能性や人材育成といったテーマもますます重要になっていきます。
- 環境に配慮した栽培方法をどう広げていくか
- 若い世代がシイタケ産業に魅力を感じ続けられるか
- 国際市場の変化にどう対応していくか
随県のシイタケ産業は、地方の一産業がどこまで可能性を広げられるのか、そして地域の暮らしをどう支えられるのかを考える、興味深いケーススタディになっています。中国の農村から生まれたこの「富のキノコ」の物語は、日本を含む他の国や地域にとっても、これからの地域づくりを考える材料になりそうです。
Reference(s):
From fields to fame: Suizhou, shiitake mushroom capital of China
cgtn.com








