武当山の服飾ブランド、道教文化ファッションで世界へ video poster
中国の道教の聖地として知られる武当山から生まれた服飾ブランドが、伝統と現代ファッションを橋渡ししながら、道教文化を世界に広げつつあります。2024年11月には、武当山観光特区で第一陣となる無形文化遺産伝承基地の一つに指定され、その動きは2025年の今も注目を集めています。
武当山と「着る」道教文化
武当山は、雄大な自然景観と壮麗な古建築で知られる道教の聖地であり、ユネスコの世界遺産にも登録されています。そこでは建物や儀礼だけでなく、服飾や所作といった生活文化も含め、多層的な道教文化が受け継がれてきました。
こうした背景の中で生まれたのが、1987年にデザイナーのMin Xiuhua氏が立ち上げたWudang Xiuhua Daoyuan Clothes Co., Ltd.です。同社は長年にわたり、道教の「シンプルさ」と「調和」の理念を、現代的な美意識と組み合わせたデザインに落とし込んできました。
ラインナップは、武当太極服や伝統的な道士の法衣だけでなく、カジュアルな日常着、レトロな中華風スタイル、現代アートの要素を取り入れた衣服まで幅広く展開されています。現在、その衣服は中国本土、香港、マカオ、台湾にとどまらず、フランス、米国、ドイツなど30を超える国と地域で販売されており、道教文化を「身にまとう」入り口として機能しています。
伝統技法をいかす現代デザイン
同ブランドの特徴は、服を「今風」にしながらも、武当山の伝統から離れないバランスにあります。Min Xiuhua氏は、古くから伝わる裁断技法や、一つ一つ手で作られるチャイナボタン、細やかな刺繍といった手仕事を守りつつ、現代的なシルエットや着やすさを加えています。
刺繍モチーフに込められた意味
多くのアイテムには、道教文化に根ざした象徴的なモチーフが使われています。
- 鶴の刺繍:長寿の象徴として知られ、身に着ける人の健やかな人生への願いが込められています。
- 瑞雲の文様:武当山の紫霄宮に残る彫刻から着想を得た雲の模様で、吉兆や調和を示すとされます。
こうしたモチーフは、過去の世代が育んできた知恵や世界観を視覚化したものであり、無形文化遺産としての価値を、日常の装いの中でさりげなく伝えています。
太極とともに広がる武当山文化
武当山の影響力は、中国国内にとどまりません。太極を学んだ外国の弟子たちが、各地で健康センターを立ち上げる動きが広がり、その際に伝えられるのは武術の技だけではありません。
彼らは、武当山で身に着けた服装や所作、そして道教文化の精神そのものを海外に持ち出しています。武当山スタイルの太極服や道教のイメージを取り入れた衣服は、健康やリラクゼーションを求める人々にとって、身体だけでなく「心のあり方」を意識させるきっかけにもなっています。
なぜ今、この動きに注目するのか
武当山発の服飾ブランドの歩みは、無形文化遺産とファッションの新しい関係を示しています。
- 宗教や思想としての道教文化を、日常で触れやすい衣服という形に翻訳していること
- 古い裁断や刺繍といった職人技を、現代の市場の中で「使われる技」として残そうとしていること
- 中国本土、香港、マカオ、台湾に加え、多くの国と地域へ広がることで、文化交流の一つのルートを作っていること
2025年の今、私たちは世界各地から届く服を何気なく身に着けています。その中に、どのような土地の記憶や思想が織り込まれているのかを意識してみると、日常の選択が少し違って見えてくるかもしれません。武当山の道教文化を映し出す衣服は、そうした問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
Wudang clothing brand carries Taoist culture into the future
cgtn.com








