国際ニュース:中国・敦煌で語られた持続可能な草地管理 video poster
中国の敦煌で開かれた第8回シルクロード(敦煌)国際文化博覧会で、ネパールの国際山岳総合開発センター(ICIMOD)の専門家タシ・ドルジ氏が、中国で得た持続可能な草地管理と牧畜の経験を紹介しました。自然・文化遺産の保護と責任ある観光のあり方を考えるうえで、2025年の今、見逃せない国際ニュースです。
第8回シルクロード(敦煌)国際文化博覧会とは
シルクロード(敦煌)国際文化博覧会は、シルクロードにゆかりのある地域や国の関係者が集まり、文化・観光・交流について意見を交わす場です。第8回となる今回は、持続可能な開発や観光をキーワードに、中国と周辺地域の経験を共有する機会となりました。
ネパールの山岳専門機関ICIMODとタシ・ドルジ氏
今回登壇したタシ・ドルジ氏は、ネパールに拠点を置く国際山岳総合開発センター(ICIMOD)の専門家です。ICIMODは、その名称が示す通り、山岳地域の環境保全や地域開発に取り組む国際機関として知られています。
ドルジ氏は、特に草地(草原)と牧畜をテーマに、山岳・高地に暮らす人々の生活と環境を両立させる方法を研究してきました。そのなかで、中国での経験から得た知見が大きなヒントになっているといいます。
中国で学んだ持続可能な草地管理と牧畜
ドルジ氏が紹介したのは、中国でのフィールドワークや協力プロジェクトを通じて得た持続可能な草地管理と牧畜のあり方です。草地管理とは、家畜の放牧や飼育を続けながら、土地の生産力や生態系を守る取り組みを指します。
氏が注目したポイントとして、例えば次のようなものが挙げられます。
- 放牧の時期や頭数を調整し、草地を休ませる輪換放牧の取り組み
- 衛星画像や現地調査を組み合わせた草地のモニタリング
- 地域の牧畜文化や伝統的な知恵を生かしつつ、科学的な管理を導入する姿勢
- 草地保全に取り組む牧畜世帯への支援など、生活と環境保護を両立させる仕組み
こうした取り組みは、草地の劣化を防ぎながら住民の生計を守る持続可能な開発の具体例として、山岳地域を抱える各国にとって参考になるといえます。
敦煌で見た自然・文化遺産の保護と責任ある観光
ドルジ氏は、敦煌滞在中に目にした自然・文化遺産の保護のあり方にも強い印象を受けたといいます。砂漠の景観や歴史ある文化財を守りながら、多くの観光客を受け入れるための工夫は、責任ある観光のモデルとして語られました。
責任ある観光とは、観光による経済効果だけでなく、環境への負荷や地域社会への影響にも配慮しながら観光を進める考え方です。ドルジ氏は、敦煌で見た取り組みから次のようなポイントを読み取ったとされています。
- 脆弱な自然・文化遺産へのアクセスを適切に制限し、保全を優先する姿勢
- 観光客の流れを分散させる動線づくりや案内表示の工夫
- 地域の歴史や環境への理解を深める解説や展示の充実
- 観光収入を遺産保護や地域の生活向上に生かそうとする取り組み
こうした点が組み合わさることで、敦煌の自然と文化を次世代に引き継ぎつつ、観光を通じた地域の活力創出にもつなげていると見られます。
山岳・草地地域へのヒント:アジアで共有できる経験
ICIMODのような山岳地域の専門機関にとって、中国での草地管理や敦煌の観光の経験は、単なる一国の成功例ではなく、アジアの国々と地域が共有できる知識のプラットフォームとなり得ます。
とくに、次のような課題を抱える地域にとって示唆が大きいと考えられます。
- 気候変動による干ばつや豪雨で草地が劣化しつつある高地や山岳地域
- 観光客の急増で自然景観や文化遺産への負荷が高まっている観光地
- 牧畜や農業に依存しながらも、若者の流出で地域の担い手が減っている農牧地域
ドルジ氏が紹介した中国での経験は、こうした地域が環境を守りながら暮らしも良くしていくための具体的なヒントとして、今後の議論や協力の土台になる可能性があります。
2025年の今、持続可能な開発をどうアップデートするか
2025年現在、気候変動や生物多様性の損失は、国際ニュースの中でも繰り返し取り上げられるテーマです。その一方で、日々の暮らしを支える牧畜や観光を止めることはできません。
今回の第8回シルクロード(敦煌)国際文化博覧会で共有された草地管理や責任ある観光の経験は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 私たちの地域の観光や農牧業は、環境への影響をどこまで考慮できているか
- 短期的な経済効果と、自然・文化遺産を次世代へ受け渡すことを、どう両立させるか
- 他地域の成功例を、自国や自分たちの地域に自分ごととして引き寄せるには何が必要か
こうした問いを持ちながら各地域が経験を持ち寄ることが、読みやすい国際ニュースをきっかけに、一人ひとりの視点を静かにアップデートしていくことにつながっていきます。
まとめ:敦煌から広がる対話の場
ネパールの専門家タシ・ドルジ氏が、第8回シルクロード(敦煌)国際文化博覧会で共有した持続可能な草地管理と責任ある観光の経験は、中国での取り組みを起点に、アジア全体の山岳・草地地域に広がりうるアイデアです。
自然と文化を守りながら、人々の暮らしも成り立たせていく。そのための実践と対話の場として、敦煌発の国際文化博覧会が果たす役割は、2025年の今も重みを増していると言えそうです。
Reference(s):
Expert draws on China's experience in sustainable development
cgtn.com








