福州の夜が映し出す生きた文化 第12回シルクロード国際映画祭審査員の視点 video poster
第12回シルクロード国際映画祭の審査員として福州を再び訪れた映画制作者マティアス・デルヴォーさん。彼が語るのは、派手な観光名所ではなく、霧に包まれた山々や川が合流する風景、そして日が暮れたあとの水辺に広がる「生きた文化」です。
国際ニュースとしては小さく見える出来事かもしれませんが、海外の映画人がどのように中国本土の都市を見ているのかを知ることは、私たちの世界の見方を静かに広げてくれます。
福州で審査員が見つけた「もう一つの風景」
第12回シルクロード国際映画祭で審査員を務めるデルヴォーさんにとって、福州の魅力は自然と都市生活が近くに共存している点にあります。再訪した街でまず目に入るのは、霧にけぶる山々と、いくつもの川が合流する穏やかな景色だといいます。
彼は、その風景から創作のインスピレーションを得ていると語ります。山や川は、単なる背景ではなく、物語の舞台や登場人物の心象風景としても重ね合わせることができるからです。
霧の山々と川の合流点がもたらすインスピレーション
デルヴォーさんが特に心惹かれるのは、霧に包まれた山々と、川が合流する場所の静かな力です。水の流れが一本に集まり、新たな方向へと進んでいく様子は、文化や人々が出会い、混じり合うシルクロードのイメージとも重なります。
映画制作者の視点から見ると、こうした風景は次のような発想を生み出し得ます。
- 時間の流れや記憶の積み重なりを描く物語
- 異なる背景を持つ人々が出会うドラマ
- 都市と自然の境界があいまいになる映像表現
福州の自然は、「観光用の絶景」というより、日常の中に溶け込んだ風景としてデルヴォーさんの目に映っているようです。
水辺の夜に広がる「生きた文化」
しかし、デルヴォーさんの心を最もとらえているのは、日が暮れてからの福州の水辺だといいます。川沿いには人々が自然と集まり、踊り、歌い、語り合いながら、それぞれのペースで夜の時間を楽しんでいます。
彼が特に気に入っているのは、そうした場に流れる「ささやかな喜び」です。誰かが音楽をかけると輪が生まれ、見知らぬ人同士が一緒にステップを踏む。子どもたちは走り回り、高齢の人たちはベンチで談笑する。そのすべてが、特別なイベントではない日常の一場面として繰り返されています。
デルヴォーさんは、こうした光景に福州の「生きた文化」を見出しています。博物館や劇場の中だけではなく、オープンな公共空間で文化が育まれ続けている点が、彼にとって強い印象を残しているようです。
国際映画祭が映し出す、福州という都市の顔
今回の映画祭は、多様な国や地域から映画人が集まる場です。その中で、デルヴォーさんのような海外の審査員が福州で感じたことは、作品の評価だけでなく、街そのものの印象として各国に伝わっていきます。
高層ビルや大規模な開発ではなく、自然と共にある風景や、水辺に集う人々の笑顔。それらが、福州の「もう一つの顔」として国際的な映画人の記憶に刻まれている点は、都市にとっても大きな意味を持ちます。
国際ニュースでは、経済や安全保障といった大きなテーマが注目されがちです。しかし、福州でのデルヴォーさんの経験が示すのは、都市や社会を理解するうえで、日常を彩る小さな光景こそが重要な手がかりになり得るということです。
「観光地」ではなく「暮らしの場」としての福州
デルヴォーさんの福州の記憶は、観光パンフレットに載るような名所よりも、人々の生活に寄り添った風景で構成されています。霧の山々、川の合流点、そして水辺の夜の賑わい。どれも大きなニュースではありませんが、都市の魅力を静かに物語っています。
私たちがニュースで世界を知ろうとするとき、数字や指標だけでなく、こうした個人の視点にも耳を傾けることで、別の輪郭が見えてきます。福州に心を奪われた国際審査員のまなざしは、アジアの都市と文化をどのように受け止めるかを考える、ひとつのきっかけになりそうです。
Reference(s):
Revisiting Fuzhou: Jury member Matthias Delvaux's fond memories
cgtn.com








