ユネスコ孔子識字賞が20周年 バングラデシュなど3カ国を表彰
中国東部・山東省曲阜市で、UNESCO Confucius Prize for Literacy(ユネスコ・孔子識字賞)の第20回授賞式が土曜夜に開かれました。今年の国際ニュースとして、インクルーシブ教育に取り組む3つのプロジェクトが表彰されています。
曲阜で祝った「孔子識字賞」20周年
曲阜は古代思想家・孔子の生誕地として知られています。その地で開かれた今回の式典では、バングラデシュ、アイルランド、モロッコの3カ国のプロジェクトが受賞しました。いずれも、誰一人取り残さないインクルーシブ教育に大きく貢献した取り組みとされています。
- バングラデシュの識字・教育プロジェクト
- アイルランドのインクルーシブ教育プロジェクト
- モロッコの地域コミュニティを支える教育プロジェクト
プロジェクトの具体的な内容はさまざまですが、共通しているのは、農村部に暮らす人びとや女性、子どもなど、教育機会にアクセスしにくい人たちを支えようとする姿勢です。
UNESCO Confucius Prize for Literacyとは
UNESCO Confucius Prize for Literacy(ユネスコ・孔子識字賞)は、2005年に創設され、2025年の今年で20周年を迎えました。読み書き能力の向上(識字)、農村教育、女性と子どもの教育に顕著な功績を挙げた個人や団体をたたえる国際賞です。
この賞の使命は、優れた成果を表彰するだけでなく、世界中の「脆弱な学習者」への関心を高めることにもあります。ここでいう脆弱な学習者とは、経済的な事情や地理的な条件、ジェンダーなどさまざまな理由から、学びの機会を得にくい人たちを指します。
UNESCOの賞としては初めて、中国の人物の名を冠した賞でもあります。これまでに36カ国の57のプロジェクトが選ばれており、多様な地域での取り組みが紹介されてきました。
孔子の故郷で開かれる意義
学びや倫理を重んじた孔子の故郷・曲阜で授賞式が行われることは、歴史と現在の教育が静かにつながる象徴的な場面ともいえます。伝統的な「学びの精神」と、現代のインクルーシブ教育の理念が重なり合う瞬間です。
なぜ今、インクルーシブな識字教育が重要なのか
デジタル化が進む一方で、読み書きや基礎教育の機会を十分に得られていない人は、世界に今も少なくありません。識字は、単に文字を読めるようになることにとどまらず、仕事を選ぶ自由や、社会の情報にアクセスする権利、公共の議論に参加する力にもつながります。
今回表彰されたプロジェクトが焦点を当てるのは、特に次のような人たちです。
- 学校や学習の場から物理的に遠い農村地域の住民
- 家事や慣習のために学ぶ時間を取りにくい女性
- 貧困や社会的な格差の影響を受けやすい子どもや若者
こうした人たちに学びの機会を届けることは、「誰も取り残さない」という国際社会の目標とも響き合うものです。
日本の読者への問いかけ:身近な「学ぶ権利」を考える
オンラインでニュースや情報に自由にアクセスできる私たちは、識字や教育の重要性を「当たり前」として見過ごしがちです。しかし、世界にはまだ、その当たり前に届いていない人たちが多くいます。
今回のユネスコ・孔子識字賞20周年という国際ニュースは、次のような問いを投げかけているようにも見えます。
- 自分の周りで、情報や学習から取り残されがちな人はいないか
- 日本社会の中で、外国にルーツを持つ子どもや、高齢者への学びのサポートは十分か
- デジタル時代の今、「読む・書く・理解する力」をどう育てていくか
答えは一つではありませんが、世界各地の小さな取り組みが国際的な場で評価されている事実は、身近な場所からでも変化を生み出せることを静かに示しています。
20年の節目を迎えたUNESCO Confucius Prize for Literacyが、これからどのようなプロジェクトを照らし出していくのか。私たち一人ひとりが、自分の足元の「学ぶ権利」に目を向けるきっかけとして、このニュースを受け止めたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








