戦国期の絹文書が79年ぶり帰還 中米協力でHunan Museumへ video poster
戦国時代の楚の墓から見つかり、戦後に米国へと持ち出されていた絹の古文書 Zidanku Silk Manuscripts が、今年79年ぶりに中国へ戻りました。中米協力による文化財返還として、国際ニュースの中でも注目されています。
楚の墓から米国へ 79年ぶりの帰還
Zidanku Silk Manuscripts は、紀元前475〜221年ごろの戦国時代にさかのぼる楚の絹文書で、Wuxing Ling と Gongshou Zhan という2巻から成ります。1942年、中国の長沙市にあるZidanku遺跡の楚墓で発見されました。
しかし1946年、この貴重な文書は違法に米国へ持ち出され、その後79年間にわたり海外にとどまってきました。今年、その長い歳月に区切りがつき、文書はついに中国へ戻ることになりました。
- 1942年 長沙市のZidanku遺跡で楚墓から出土
- 1946年 違法に米国へ持ち出される
- 2025年 中米協力により79年ぶりに中国へ返還
中米協力で実現した文化財返還
今回の返還は、中米両国の緊密な文化財返還協力の枠組みの中で進められました。今年、米国のスミソニアン協会に属する National Museum of Asian Art が、2巻の文書を中国の National Cultural Heritage Administration に正式に引き渡しました。
文書は今年(2025年)5月18日に北京に到着し、その後、専門家による確認や保存のための手続きが進められています。同館の館長チェイス・ロビンソン氏は、この移管は数カ月にわたる慎重な協議の成果であり、中国の文化機関との100年におよぶパートナーシップを引き継ぐものだと説明しています。
湖南博物館が新たな恒久の家に
Zidanku Silk Manuscripts は、現存する中国最古の絹製テキストとされ、歴史的・芸術的・学術的に非常に高い価値を持つ文化財です。こうした重要な資料が、今後は中国中部にある Hunan Museum に恒久的に収蔵されることになりました。
湖南博物館に落ち着き先が決まったことで、長期的な保存環境が整うだけでなく、中国内外の研究者がアクセスしやすくなり、学術研究が一段と進むことが期待されます。戦国時代の思想や社会を知る一次資料として、歴史学や文学、書道史など幅広い分野に影響を与えそうです。
文化財返還が投げかける問い
今回のニュースは、一つの貴重な文書が帰ってきたという話にとどまりません。盗掘や違法輸出によって出身地を離れた文化財を、どのように元の地域へ戻していくのかという、文化財返還の国際的な流れの一場面でもあります。
- 違法に国外へ流出した文化財をどう特定し、返還へとつなげていくのか
- 返還後も、国境を越えた研究や展示の機会をどう確保していくのか
- 文化財を通じて、中米を含む各国・各地域のあいだにどのような信頼関係を築けるのか
Zidanku Silk Manuscripts の事例は、対立よりも協力を優先したとき、文化財をめぐる問題が前に進みうることを示しています。静かなニュースですが、国際協力のあり方を考えるうえで示唆に富んだ出来事と言えます。
オンライン時代の私たちにできること
デジタル技術が発達した今、文化財との出会いは必ずしも現地に行くことだけを意味しません。湖南博物館が今後、展示や研究の成果をオンラインで公開していけば、遠く離れた場所からでも Zidanku Silk Manuscripts に触れる機会が広がっていくかもしれません。
ニュースを読み、背景にある歴史や国際関係に思いを巡らせることも、文化財に対する一つの向き合い方です。今回の中米協力による文化財返還をきっかけに、私たち自身も「文化財はどこにあり、どう共有されるべきか」という問いを、自分ごととして考えてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Zidanku Silk Manuscripts return to China through Sino-US cooperation
cgtn.com








