巴蜀文化観光回廊が経済とインバウンドを牽引 四川・重慶の新戦略 video poster
中国南西部の四川省と重慶市が共同で進める巴蜀文化観光回廊づくりが、地域経済とインバウンド観光のエンジンになりつつあります。2020年に戦略が打ち出されてからのこの5年間で、古代遺跡と現代カルチャーをつなぐ新しい観光モデルが立ち上がってきました。
巴蜀文化観光回廊とは何か
巴蜀文化観光回廊は、四川省と重慶市が過去5年間の重点戦略として進めてきた広域観光構想です。2020年1月に方針が提案されて以降、両地域は連携しながら、一体的な観光ルートづくりや国際的な観光・消費フェスティバルの開催、文化公園の整備などに取り組んできました。
狙いは、バラバラに存在してきた名所やイベントを結び付け、世界に通用する観光回廊としてブランド化することです。これにより、国内外の旅行者が周遊しやすくなり、滞在時間や消費を伸ばすことが期待されています。
四川盆地一帯「巴蜀」の豊かな文化
巴蜀という言葉は、歴史的に四川盆地一帯を指す呼称で、独自の文化遺産が蓄積されたエリアです。その魅力は、古代から現代まで幅広く広がっています。
- 古代文明を今に伝える三星堆遺跡
- 水利技術の象徴として知られる都江堰の灌漑システム
- パンダをモチーフにした人気コンテンツやキャラクター
- しびれる辛さで知られる火鍋などの料理をはじめとするスパイシーな食文化
博物館や遺跡で古代の世界観に触れたあと、街に戻ればパンダ関連グッズや創意工夫に富んだ文創商品、にぎやかな市場が待っています。こうした古今の要素を一つのストーリーとして体験できるようにすることが、巴蜀文化観光回廊の核になっています。
観光ルートとフェスティバルで回廊を形に
四川と重慶は、この回廊を具体化するために、複数の都市や観光地をつなぐプレミアムな観光ルートを設計しています。同時に、国際観光と消費をテーマにしたフェスティバルを開催し、国内外の旅行者が一度に多くの文化体験や買い物を楽しめる場をつくっています。
さらに、歴史や自然、都市景観などをテーマにした文化公園の開発も進めることで、点在するスポットを線ではなく面として楽しめるような観光空間を目指しています。
交通インフラの改善がもたらす変化
巴蜀文化観光回廊を支えているのが、四川・重慶域内と中国各地を結ぶ交通インフラの改善です。都市間の移動がスムーズになることで、旅行者は一つの旅程の中でさまざまな体験を組み合わせやすくなりました。
例えば、昼間は博物館や遺跡で古代文化を学び、夕方には別の都市へ移動して、本場のスパイシーな料理や屋台が並ぶ市場を楽しむといった周遊が現実的になっています。移動のハードルが下がることで、宿泊、飲食、買い物など幅広い分野で消費が生まれ、地域経済への波及効果も大きくなっていきます。
経済とインバウンドに広がる好循環
観光回廊の整備は、道路や鉄道といったハード面だけでなく、フェスティバル、文化公園、文創商品などソフト面の産業も巻き込みながら進んでいます。これらは、サービス業やクリエイティブ産業に新たな仕事を生み出し、地域経済を下支えする存在になりつつあります。
また、国際観光・消費フェスティバルの開催や、パンダや四川料理といった分かりやすい魅力を前面に出した発信は、海外からの旅行者にとっても訪れやすい入口になります。こうした取り組みが重なり、巴蜀文化観光回廊は経済成長とインバウンド拡大の両面で、好循環を生み出しているといえます。
日本の地域づくりへの示唆
複数の都市やテーマを一本のストーリーで束ねる巴蜀文化観光回廊の発想は、日本の地方創生や観光戦略を考えるうえでも示唆に富んでいます。個々の観光資源を磨くだけでなく、歴史、食、キャラクター、現代カルチャーなどを組み合わせて回廊として提示することで、周遊や長期滞在を促すモデルは他地域にも応用可能です。
これからの焦点
2020年に構想が掲げられてから5年、巴蜀文化観光回廊は、古代遺跡と現代の生活文化をつなぐ実験の場として動き出しています。今後、交通ネットワークや文化公園、国際フェスティバルがどのように発展し、どこまでインバウンド観光を引きつけていくのかは、中国南西部のダイナミズムを映す国際ニュースとして注目されます。
古いものと新しいもの、ローカルとグローバルをどう結び付けるか。その問いに対する一つの答えとして、巴蜀文化観光回廊の行方を追うことは、私たち自身の観光や地域の未来を考えるヒントにもなりそうです。
Reference(s):
Bashu Cultural Tourism Corridor fuels economy and inbound boom
cgtn.com








