APEC若者が変えるグローバル・ガバナンス SNS時代の新しい参加のかたち video poster
APECの若者たちは、グローバル・ガバナンスについて何を考え、どのように声を上げているのでしょうか。オンライン企画「Empowering voices: APEC youth shaping global governance」などをきっかけに、アジア太平洋の若者の視点に注目が集まっています。本記事では、その背景と意味を日本語でわかりやすく整理します。
なぜ今、「若者の声」とグローバル・ガバナンスなのか
グローバル・ガバナンスとは、気候変動やデジタル経済、安全保障など、国境を越える課題について、国や地域、国際機関、市民社会などが協力してルールや仕組みをつくるプロセスを指します。2020年代半ばの今、このプロセスに若者がどう参加するかが大きなテーマになっています。
アジア太平洋地域をつなぐAPECの枠組みでは、域内の国や地域(メンバー)の経済成長だけでなく、「誰も取り残さない」包摂的な成長が重視されています。少子高齢化や格差、気候危機の影響を長く受けるのは現在の若い世代であり、その声を意思決定に反映させることが、説得力のあるガバナンスにつながると考えられているためです。
インクルーシブ(包摂的)な意思決定の意味
オンライン企画「Empowering voices: APEC youth shaping global governance」が焦点を当てるのは、若者の「参加のしやすさ」と「多様な背景の尊重」です。インクルーシブなグローバル・ガバナンスとは、単に若者に発言機会を与えるだけではなく、次のような点を重視するアプローチです。
- 都市部だけでなく地方に暮らす若者、さまざまな社会的背景をもつ若者の声を拾うこと
- 英語や専門用語に頼りすぎず、複数の言語・表現スタイルで意見交換できる場をつくること
- 若者の提案を「イベントで聞いて終わり」にせず、政策議論やプロジェクトの設計に組み込むこと
こうした視点は、APECメンバーの多様性が大きいほど重要になります。所得水準も政治体制も文化も異なる国や地域が集まるからこそ、若い世代の率直な経験や疑問が、共通ルールづくりのヒントになる可能性があるためです。
SNSがつなぐカルチャーと政治意識
この企画の説明文でも触れられているように、今日の若者にとってSNSは「カルチャーを探求する場」であると同時に、「ガバナンスを語る入口」にもなりつつあります。音楽、ドラマ、ゲーム、ショート動画などをきっかけに、他のAPECメンバーの文化に親しむなかで、次のような気づきが生まれています。
- 気候変動やジェンダー平等など、似た問題意識を共有する同世代がアジア太平洋の各地にいること
- 生活コストや働き方、教育環境など、身近な悩みが境界を越えてつながっていること
- オンライン・コミュニティを通じて、政策提言やキャンペーンを共同で進められること
一方で、SNSには情報が極端になりやすい、分断を深めてしまうといった課題もあります。だからこそ、異なる立場の人どうしが丁寧に対話できる場をどう設計するかが、APEC域内の若者に共通する課題になっています。
若者の声はどこで政策に届くのか
グローバル・ガバナンスにおける若者の役割は、「会議に参加する」ことだけではありません。APEC関連の若者フォーラムやオンライン対話の場では、おおまかに次のような形で声が政策に届こうとしています。
- 提言書や共同声明として、とりまとめて政策担当者に届ける
- スタートアップや社会起業など、具体的なプロジェクトとして形にする
- 各メンバーの学校・地域コミュニティに持ち帰り、ローカルな議論につなげる
こうしたプロセスは一朝一夕には成果が見えにくいものの、数年単位で見れば、「当たり前」とされる政策の前提を静かに変えていく力を持っています。2025年の今、若者がどこまで意思決定に関われるのか、その試行錯誤のプロセスそのものが、グローバル・ガバナンスの重要な一部になりつつあります。
私たちが今日からできる3つの一歩
では、APEC域内に暮らす一人ひとりの若者や市民は、どのようにこの動きに関わることができるのでしょうか。大げさなことをしなくても、次のような小さな一歩から始めることができます。
- 身近なテーマで情報を追う
気候変動、デジタル権利、教育など、関心のある分野を一つ決めて、APECメンバーのニュースや若者の声に目を向けてみます。 - SNSで自分の言葉を残す
難しい専門用語を使う必要はありません。日常の気づきや違和感を、自分の言葉で短く共有するだけでも、誰かの視点を広げるきっかけになります。 - オンライン対話の場に参加する
学生団体や市民グループ、国際機関が主催するウェビナーやディスカッションなど、気軽に参加できる場は増えています。まず一度参加してみることで、APECの若者が何を考えているのか、肌感覚で知ることができます。
「Empowering voices」という言葉が示すように、グローバル・ガバナンスを形づくるのは、一部の専門家や政治指導者だけではありません。アジア太平洋の多様な若者が、それぞれの場所から声を上げることで、より開かれたルールづくりが少しずつ進んでいきます。その動きに自分はどう関わりたいか――2025年の今、改めて考えてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








