中国の水郷・新市鎮、ダンスアートでまちを再発見
千年の運河が流れる中国・浙江省の水郷、新市鎮で、ダンスと町並みを融合させたアートフェスティバル第2シーズンが今年10月に開催されました。水辺の古い町と現代アートを組み合わせたこの試みは、国際ニュースとしても、文化観光のあり方を考えるヒントになっています。
千年の運河とダンスが出会う水郷・新市鎮
中国東部・浙江省徳清県にある新市鎮は、千年以上の歴史を持つ運河が町を貫く水郷の古い町です。今年2025年10月22日から26日にかけて、この運河沿いで「新市鎮ダンスアートフェスティバル」の第2シーズンが開かれました。
オールが水面を打つ規則的な音と、きらめくさざ波。その情景の中でフェスティバルは展開し、水面に響く音や光とダンスが重なり合うことで、町全体がひとつのステージのような空間になっていたとされています。
ダンスアートフェスティバル第2シーズンのコンセプト
新市鎮ダンスアートフェスティバル第2シーズンは、芸術と地域の文化、そして自然環境を切り離さずに体験してもらうことをめざしたイベントです。
イベントのコンセプトは、芸術を新市鎮の文化や自然の美しさと全面的に融合させることです。その結果、来訪者は舞台作品やパフォーマンスだけでなく、水郷の町そのものを味わう形の文化観光を楽しめる構成になっています。
水郷の文化観光が生む「ゆっくりとした時間」
近年、中国を含むさまざまな地域で、観光は「名所を次々と巡る」スタイルから、その土地の暮らしや文化をじっくり体験するスタイルへと変わりつつあります。新市鎮のような水郷では、ゆるやかに流れる運河と古い町並みが、その変化を象徴する舞台になっています。
ダンスアートフェスティバルのような試みは、観光客にとっては作品をきっかけに町を歩き回る楽しさを、地域にとっては自分たちの歴史や物語を発信する機会を生み出します。一度に多くを消費するのではなく、その場にしばらくとどまり、時間と空間を共有する観光のスタイルを促している点でも注目されています。
地域の記憶と現代アートの「橋渡し」
千年の運河という長い時間の蓄積を持つ新市鎮に、現代のダンスアートが入り込むことは、過去と現在をつなぐ橋渡しでもあります。日常の風景や人々の暮らしを、ダンスという一時的な表現が照らし出すことで、当たり前だった景色が少し違って見えてきます。
こうしたアートイベントは、地域の記憶を「保存する」だけでなく、「いま、この場所でどのように生きていくか」を考えるきっかけにもなります。観光客だけでなく、そこに暮らす人々にとっても、自分たちの町を見つめ直す機会になるといえるでしょう。
「行ってみたい」を超えて、「どう関わるか」を考える
新市鎮ダンスアートフェスティバル第2シーズンは、千年の運河と水郷の景観を舞台に、芸術と文化観光を結びつける試みとして2025年の秋に開催されました。こうしたニュースを読むと、「いつか訪れてみたい」と感じる人も多いかもしれません。
一方で、遠くから情報に触れる私たちにとっても、この出来事は次のような問いを投げかけています。
- 旅先で、その土地の文化や暮らしにどのように向き合うのか。
- 歴史ある町や景観を、観光と開発の流れのなかでどう守り、どう更新していくのか。
- アートは地域社会にとって、どのような役割を果たし得るのか。
新市鎮の事例は、中国を含むアジア各地で進む文化観光の動きを考えるヒントのひとつです。水の都で響いたオールの音とダンスのリズムは、これからの観光や地域づくりのあり方を静かに問いかけているように見えます。
Reference(s):
Xinshi: How a Chinese water town reinvents itself through art
cgtn.com








