中国・雲岡石窟の第7・8号窟が再公開 デジタル保存でよみがえる仏教芸術 video poster
中国北部・山西省大同市にあるユネスコ世界遺産の雲岡石窟で、閉鎖されていた第7号窟と第8号窟が2025年12月8日、約5か月にわたるデジタル保存と修復プロジェクトを経て一般公開を再開しました。北魏時代の初期仏教石窟芸術を代表する空間が、最新技術によって新たな姿で人びとの前に戻ってきたかたちです。
今回のニュースのポイント
- 中国北部・山西省大同市の雲岡石窟で第7号窟と第8号窟が再公開
- 約5か月間のデジタル保存と修復プロジェクトが完了
- 北魏(386〜534年)に刻まれた初期中国仏教石窟芸術の傑作とされる
北魏時代の仏教芸術を伝える第7・8号窟
雲岡石窟は、北魏が都を置いた時期に造営が進んだ大規模な石窟群で、その中でも第7号窟と第8号窟はとりわけ規模の大きな空間として知られています。両窟には、綿密に構成された仏像群や壁面彫刻が施されており、当時の信仰と美意識の高さを物語っています。
今回一般公開が再開された大空間は、初期の中国仏教石窟芸術の水準を示すものとされ、細部まで彫り込まれた装飾や表情豊かな仏像が特徴です。訪れる人びとは、石窟全体の構成から一体一体の表情まで、北魏時代の精神世界に触れることができます。
デジタル保存と修復プロジェクトとは
第7号窟と第8号窟の再公開は、約5か月におよぶデジタル保存と修復プロジェクトの完了を受けたものです。デジタル保存とは、文化財の現状をできるだけ正確に記録し、将来の劣化や災害に備える取り組みの総称です。
一般に、この種のプロジェクトでは、石窟内部の形状や彫刻の細部を高精度で記録し、保存や修復の計画に役立てることがめざされます。物理的な修復とあわせて、デジタル化されたデータが残ることで、将来の研究や展示にも活用の幅が広がります。
なぜ今、デジタルで文化財を守るのか
石窟や壁画のような文化財は、風雨や気温差など自然環境の影響に加え、多くの人が訪れることによる微細な劣化とも向き合わざるを得ません。こうした中で、デジタル技術を活用した保存は、文化財を守りながら公開を続けるための重要な選択肢になりつつあります。
デジタル保存が進むことで、現地で見られる実物の価値が薄れるわけではありません。むしろ、正確な記録と科学的な分析を踏まえた展示や解説が可能になり、現地を訪れた人びとが、作品の歴史的背景や宗教的な意味をより深く理解しやすくなることが期待されます。
雲岡石窟をめぐる体験のこれから
今回の再公開により、雲岡石窟を訪れる人びとは、北魏時代の仏教世界を伝える象徴的な空間に再び足を踏み入れることができるようになりました。巨大な石窟空間と緻密な彫刻を前にすると、1500年以上前の人びとが託した信仰と祈りの重みを、身体感覚として実感できるはずです。
同時に、デジタル保存のような新しい技術が導入されることで、文化財を守りながら公開するための工夫が今後いっそう求められていきます。2025年現在、世界各地で文化財のデジタル化が進むなか、雲岡石窟の取り組みは、歴史ある遺産と最先端技術をどう共存させるかを考えるうえでも注目されます。
北魏時代の仏教芸術とデジタル技術、その両方が交わる今回の再公開は、文化財のこれからの守り方と見せ方を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Caves at Yungang Grottoes reopen to public after digital conservation
cgtn.com








