雲南ジンマイ山の茶林に学ぶ、倒木が命をつなぐ東洋の知恵
中国雲南省ジンマイ山の茶林では、倒れた木は決して「廃棄物」にはなりません。村には、倒木は売らず、その場に残しておくという掟があり、その静かなルールが千年の古茶林と生態系を支えてきました。
雲南・ジンマイ山の茶林で守られる「倒木の掟」
ジンマイ山の茶林では、一本の木が倒れると、村人はそれを運び出したり、材木として売ったりしません。倒木は、その場所にそっと残されます。
この背景には、ブランの人々が大切にしてきた考え方があります。彼らは、木が倒れることを「帰ること」だととらえます。木は土へと戻り、やがて他の茶の木や植物を養う存在になる。倒木は終わりではなく、森へ帰郷するプロセスだという見方です。
倒木が支える千年の古茶林の生態系
人が介入せず、倒木をそのままにしておくことが、ジンマイ山の千年にわたる古茶林を育んできました。時間がたつにつれて倒木は分解し、豊かな腐葉土となります。その養分を受けて、新たな苗木が芽吹き、若い茶の木や周囲の植物が育っていきます。
そこには、次のようなシンプルな循環があります。
- 成長した木がやがて倒れ、森の地面に横たわる
- 倒木が分解し、土壌に豊かな栄養を与える
- 栄養を受けた土から、新しい苗木や植物が芽生える
- 新たな木々が森を形づくり、再び時間をかけて育っていく
一見「死」と見える倒木が、じつは次の「生」を支える。ジンマイ山の茶林は、その最も素朴な生命の循環を、今も静かに体現しています。
「役に立つ」だけを求めない東洋の知恵
現代社会では、木や森をすぐに「資源」として数値化しがちです。しかし、ジンマイ山の茶林で守られているのは、目先の「有用性」だけを求めない態度です。
倒木を売って利益に変えるのではなく、自然のサイクルにゆだねる。そのことで、茶林全体の命の循環が守られ、長い時間軸で見たときの「豊かさ」が保たれます。
この姿勢は、自然をただ利用する対象としてではなく、自分たちがその一部として共に生きる存在として尊重する考え方でもあります。そこには、「自然をコントロールする」のではなく、「自然のリズムに合わせて暮らす」という東洋的な世界観がにじんでいます。
気候変動と持続可能な開発へのヒント
気候変動が大きな課題となる今、ジンマイ山の茶林に見られるような知恵は、持続可能な開発を考えるうえで、一つの手がかりになります。
この茶林が教えているのは次のようなポイントです。
- 自然の循環そのものを守ることが、長期的な豊かさにつながる
- 短期的な「有用性」よりも、生態系全体のバランスを優先する
- 人間の介入を減らし、自然の自己回復力を信頼する
こうした姿勢は、気候変動対策や持続可能な開発目標を考える際の土台にもなりえます。技術や制度の議論に加えて、「どのような時間感覚で自然と向き合うのか」という視点が問われているともいえるでしょう。
都市生活でできる小さな実践
ジンマイ山の茶林ほど大きなスケールで自然と共生することは難しくても、そのエッセンスを日々の暮らしに取り入れることはできます。
- 落ち葉や剪定した枝をすぐに「ゴミ」とせず、土づくりに生かす
- 庭やベランダで、土の中の小さな生き物の働きを観察してみる
- 自然公園や森林を訪れる際、そこにある「循環」を意識してみる
倒木をそのままにしておくジンマイ山の茶林は、華やかなテクノロジーとは別のかたちで、気候変動と向き合うための東洋の知恵を静かに示しています。私たちができるのは、その物語に耳を傾け、自分の足元の暮らしのなかで、小さな循環を取り戻していくことなのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







