古茶樹の森と高床式の村――雲南・景迈山に見る持続可能な暮らし video poster
世界的に気候変動が深刻さを増すなか、中国雲南省・普洱市の景迈山(ジンマイ山)では、古くから続く茶の木の森と村の暮らしが、持続可能な社会のヒントとして改めて注目されています。森とお茶、人の営みがどのように結びついているのかを見ていきます。
茶の木の森に抱かれた高床式の村
景迈山一帯には、茶の木の森に囲まれた集落が点在しています。家屋の多くは木造で、高床式が基本です。家族は二階部分で暮らし、一階部分には家畜が共に暮らします。屋根はお茶の葉を乾かすためのスペースとして使われ、暮らしと生業が一体化したつくりになっています。
村の家並みには、都市のような整然とした区画はありません。地形に合わせるように家がちらばり、ゆるやかな曲線をえがきながら森の中に溶け込んでいます。山肌を削って整地したり、森を大規模に伐採して宅地にすることはなく、人が自然に寄り添うかたちで集落が築かれてきました。
伝統建築がかなえる低炭素な暮らし
2025年のいま、極端な暑さや集中豪雨など、気候変動による異常気象は各地で大きな課題になっています。そんななかでも、景迈山の人びとは伝統的な建築技術を守り続けています。
柱や梁などの建材には、周辺の森から調達した木材が用いられます。屋根や壁の素材も、できるだけ地域内で手に入る自然由来のものが選ばれます。遠くから大量の資材を運び込まず、現地の木や素材を活かすことで、建設や修繕にともなう二酸化炭素排出を最小限に抑えています。
高床式の構造自体も、通風性を高め、湿気から家を守る工夫といえます。機械的な冷暖房に過度に頼らず、自然の風や日差しを上手に取り込む設計は、低エネルギーで快適に暮らすための知恵でもあります。
森林―茶の木の森―集落がつながる保全モデル
景迈山では、環境保全と地域の発展を両立させるために、森林、茶の木の森、集落をひとつの循環としてとらえる保全モデルが共有されています。森が健全であれば茶の木が育ち、そのお茶が人びとの生計を支える。こうした関係性を前提に、自然と暮らしをセットで守っていく発想です。
- 森が茶の木の生育環境を整える
- 茶の木の森が地域の主な生業を支える
- 村の暮らしが森と茶の木を丁寧に手入れする
森が茶を育て、茶が暮らしを支え、人と自然が同じ清らかな山の空気に養われる――そんな循環を維持することが、地域の持続可能な発展の基盤となっています。
気候危機の時代に、森とともに生きるという選択
経済成長を優先して森林を開発し、短期的な利益を追い求める道もありますが、景迈山の村はあえて別の選択を続けてきました。森を残し、その中で茶を栽培し、伝統的な家屋で暮らす。結果として、文化や景観が守られるだけでなく、炭素排出の少ない暮らし方にもつながっています。
気候危機が深刻さを増す2020年代、都市から遠く離れた茶の木の森の小さな村は、私たちに問いかけます。どのような暮らしを選び、どんな形で自然と共に生きるのか。景迈山の実践は、環境ニュースとしてだけでなく、日々の生活を見つめ直すヒントとしても、静かに響いてきます。
Reference(s):
cgtn.com








