中国本土で日本映画の公開延期 クレヨンしんちゃん新作などに影響
中国本土(中国)で予定されていた日本映画の公開が相次いで延期されています。中国本土の映画市場は今年も世界第2位の規模を維持する一方で、日本映画を取り巻く環境には新たな緊張が生まれているようです。
日本映画の公開が相次いで延期
中国本土で公開予定だった日本映画のうち、アニメ映画「クレヨンしんちゃん ザ・ムービー 超ホット!灼熱の春日部ダンサーズ」や「はたらく細胞!」など複数作品の公開が延期されました。
作品の輸入会社や配給会社によると、延期の判断は、最近の日本映画の興行成績や観客の受け止め方など、全体的な市場動向を慎重に見極めた結果だと説明されています。現時点で、新たな公開日が示されていない作品もあります。
背景にある観客の感情と台湾問題
今回の公開延期の背景として、中国本土の観客の間で高まった不満の声が指摘されています。日本の高市早苗首相が台湾問題に関して発言したことを受けて、中国本土の観客の間では強い不満が表明されました。
映画は娯楽であると同時に、国や地域のイメージとも結びつきやすい分野です。中国本土では、台湾問題が主権や領土に関わる重要なテーマとして受け止められており、政治的な発言が文化・エンタメ分野の受容にも影響を与えやすい土壌があります。
配給側が「観客の感情」を重視して公開時期を見直したという説明は、こうした政治と世論の敏感な関係を反映していると言えます。
中国本土の映画市場はいま
政治的な要素とは別に、中国本土の映画市場そのものも重要な背景としてあります。今年の中国本土の興行収入は、世界の映画ビジネスを語る上で欠かせない規模に達しています。
2025年11月16日時点で、中国本土の年間興行収入は次のようになっています。
- 興行収入合計:455.43億元(約64億米ドル)
- 世界第2位の映画市場の地位を維持
- そのうち中国本土の国産映画が占める割合:88.48%
数字からは、中国本土の観客が国産作品を中心に観ている構図が浮かび上がります。輸入作品、とくに日本映画を含む外国作品は、巨大市場の中で限られたシェアを争っている状況です。
このように国産作品が強い市場では、輸入作品側は少しのイメージ悪化や観客感情の変化でも大きなリスクとなり得ます。そのため、配給会社が「タイミングをずらす」という慎重な対応を取るインセンティブは高くなります。
日本映画にとっての意味
中国本土の映画市場は、日本の映画産業にとっても魅力的な海外市場です。しかし、今回のように政治的な発言や世論の動きが、作品の公開タイミングに直結するケースが改めて浮き彫りになりました。
日本の映画関係者にとっては、次のような点が今後の課題となりそうです。
- 中国本土市場でのブランドイメージや信頼の維持
- 政治・外交上の動きが興行に与えるリスクの把握
- 公開時期の柔軟な調整や、他地域との公開バランス
- 配信プラットフォームなど、別ルートでの展開可能性の検討
一方で、観客側から見れば、作品そのものを楽しみたいという気持ちと、政治的な立場や感情との間で揺れる面もあるかもしれません。文化交流の場としての映画が、どのように政治と距離を取りうるのかは、今後も議論が続きそうです。
これから注視したいポイント
日本映画の公開延期というニュースは、一時的な話題に見えますが、中国本土の映画市場と国際情勢の関係を考える上で、多くの示唆を含んでいます。今後、注目したいポイントを整理しておきます。
- 延期された日本映画の公開時期がいつ、どのような形で再設定されるのか
- 今後予定されている他の日本映画が同様の影響を受けるのか
- 中国本土の観客の感情が時間とともにどう変化していくのか
- 国産映画中心の市場構造がどの程度続くのか、それとも輸入作品の比率に変化が生じるのか
巨大な映画市場と、政治・世論・文化が複雑に絡み合う中国本土。日本映画がその中でどのような立ち位置を確保していくのかは、今後も国際ニュースとして追い続ける価値のあるテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








