中国発デザイントイ「Hotru」 マスクで変身する一体ものフィギュアの魅力 video poster
中国発のデザイントイ「Hotru(ホイトル)」が、国際ニュースや中国カルチャーに関心のある読者のあいだで静かに存在感を高めています。猫やドラゴン×ブタのハイブリッドなキャラクターに、さまざまなマスクを組み合わせることで、1体ごとにまったく違う表情と物語が生まれるコレクションです。
Hotruとは? Chaoshan方言が生んだ「かわいくて楽しい」世界
「Hotru」という名前は、中国南部の潮汕(Chaoshan)方言で「かわいくて、楽しくて、魅力にあふれている」といった意味を持つ言葉だとされています。名前そのものに、プロダクトの世界観がそのまま込められているのが特徴です。
Hotruのトイは、一つひとつが「一体もの」であることが大きなポイントです。ベースとなるキャラクターは、親しみやすい猫の姿や、ドラゴンとブタを掛け合わせたようなユニークなハイブリッド・キャラクターなど。そこに後述するマスクパーツを組み合わせることで、所有者ごとに異なる「自分だけのHotru」が立ち上がります。
マスクで変身するフィギュア:キツネからタオティエまで
Hotruの最大の特徴は、キャラクターの「顔」と世界観を大きく変えることができるマスクの存在です。オーナーは、好みに応じてマスクを付け替えながら楽しむことができます。
用意されているマスクは、たとえば次のような多彩なモチーフです。
- キツネやシカといった、なじみのある動物モチーフ
- 古代中国の儀式用青銅器に刻まれてきた神話上の獣「饕餮(タオティエ)」を思わせるマスク
こうしたパーツを組み合わせることで、同じベースフィギュアでも、かわいらしい雰囲気から神秘的でダークな印象まで、まったく異なるキャラクターへと変身させることができます。マスクの選び方そのものが、所有者の好みや気分を映し出す「自己表現」の手段にもなっています。
古典モチーフと遊び心の融合:デザイナー蔡潤銓の試み
Hotruを手がけるデザイナー、蔡潤銓(Cai Runquan)は、ポップで親しみやすいキャラクター造形に、古典的なモチーフをさりげなく織り込んでいます。特に象徴的なのが、古代中国の儀礼用青銅器に多く見られる饕餮文様を思わせるマスクです。
饕餮は、古い青銅器の表面を飾る神話上の獣のモチーフとして知られています。威厳ある、どこか畏怖を感じさせるその図像が、Hotruでは小さなフィギュアのマスクとして再解釈されています。この組み合わせによって、トイとしてのかわいさと、歴史・文化に根ざした重層的なイメージが同時に立ち上がります。
単なるキャラクターグッズではなく、「遊び心」と「古典」の両方を一体の中に共存させることで、Hotruは独自の「中国らしさ」をまとったコレクションとして位置づけられています。
2025年の視点:なぜHotruのようなトイが心をつかむのか
2025年の今、世界各地で「自分だけのストーリーを持つモノ」に価値を見いだす動きが強まっています。大量生産された同じ見た目のプロダクトではなく、持ち主の選択や組み合わせによって意味が変わっていくアイテムが好まれています。
Hotruは、まさにその流れに合致した存在だと言えます。
- 一体もののフィギュアでありながら、マスクの付け替えで印象が大きく変わる
- 古典モチーフを取り入れつつも、あくまで日常に置ける「かわいい」トイとして成立している
- 猫やドラゴン×ブタといった親しみやすいキャラクターが、難しくなりがちな文化的モチーフへの入口になっている
こうした要素が重なり、Hotruは、中国カルチャーに関心のある人だけでなく、デザインやアートトイ全般が好きな人にとっても魅力的なプロダクトとして映ります。
Hotruから読み取れる3つのヒント
最後に、Hotruというプロダクトから私たちが読み取れるポイントを、3つに整理してみます。
- カスタマイズ性と「一体もの」の両立
量産か一点ものかという二項対立ではなく、「一体ずつ違う」と「パーツで変えられる」という二つの価値を組み合わせている点は、今後のプロダクトデザインにも示唆を与えます。 - 古典モチーフを日常に持ち込むデザイン
饕餮のような古典的なモチーフを、難解な「歴史資料」としてではなく、手に取って楽しめるトイとして再解釈していることは、文化継承の新しい形とも考えられます。 - 「中国らしさ」の多層的な表現
赤や龍といった分かりやすい記号に頼るのではなく、方言の名称や古代の文様を採り入れることで、より奥行きのある中国カルチャーの表現が試みられています。
国際ニュースや日本語で読む中国カルチャーに関心のある読者にとって、Hotruは、モノづくりやデザインを通じて「文化をどう現在に編み直すか」を考えさせてくれる一つのケーススタディと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








