台湾映画「Twa-Tiu-Tiann」が描く日本統治下の文化抵抗
2014年に公開された台湾映画「Twa-Tiu-Tiann」は、現代の大学生ジャックが日本の植民地支配下にあった1920年代の台北にタイムスリップし、文化的な抵抗運動に関わっていく様子を、軽やかなコメディとして描いています。本記事では、この作品がどのように日本統治と台湾の文化的抵抗を描いているのかを、2025年の視点から読み解きます。
2014年の台湾映画「Twa-Tiu-Tiann」とは
「Twa-Tiu-Tiann」は、台湾で2014年に制作されたコメディ映画です。物語は、現代に生きる大学生のジャックが、ふとしたきっかけで1920年代の台北に迷い込むところから始まります。当時の台北は日本の植民地支配下にあり、社会や文化のあり方が大きく揺れていた時代です。
過去の台北でジャックが出会うのが、反植民地運動を率いるリーダーである Chiang Wei-shui です。彼は、Taiwan Cultural Association という名前の文化団体を率いており、ジャックはその活動に巻き込まれていきます。タイムスリップというファンタジー設定を通じて、観客は日本統治時代の台湾社会と、そこに生きる人々の抵抗の姿に触れることになります。
コメディが照らす「文化的抵抗」
この作品の特徴は、歴史を扱いながらも、あくまで軽やかなコメディとして語られている点です。重くなりがちな植民地支配というテーマを、笑いやテンポのよい会話を通じて描くことで、観客は構えずに物語に入り込むことができます。
Comedy spotlights Taiwan's cultural resistance to Japanese rule という表現が示すように、この映画は台湾の文化的抵抗を前面に押し出しています。武力による対立だけでなく、言葉、芸術、教育、そして日常のふるまいなど、文化のレベルで植民地支配に向き合おうとする姿勢が、コメディのなかで浮かび上がってくると考えられます。
現代の大学生ジャックが過去に出会うもの
現代の大学生ジャックというキャラクターは、観客と同じ「今」を生きる存在として設定されています。そのジャックが、1920年代の台北というまったく異なる時代と空気に放り込まれることで、作品は次のような問いを投げかけているように見えます。
- 過去の人びとの選択や抵抗を、現代の私たちはどう受け止めるのか
- 歴史上の人物は、教科書のなかの名前ではなく、どのような思いや葛藤を抱えた「生身の人」だったのか
- もし自分が同じ状況に置かれたら、どのように振る舞うのか
Jack が anti-colonial leader Chiang Wei-shui と出会い、Taiwan Cultural Association の活動に関わっていく展開は、歴史の授業ではなかなか想像しづらい「現場の空気」を、物語として体感させる装置になっています。
Chiang Wei-shui というリーダー像
作中で描かれる Chiang Wei-shui は、anti-colonial leader、つまり日本の植民地支配に抗う指導者として位置づけられています。ジャックにとっては、もともと歴史上の人物としてしか知らなかった相手が、目の前で笑い、怒り、悩む一人の人間として現れることになります。
このような出会いの構図は、「歴史上の偉人」を遠い存在ではなく、同じ時代を生きていた人として捉え直すきっかけになります。それは、歴史を単なる年表ではなく、「連続した時間のなかで続いている営み」として感じさせる効果を持っていると言えるでしょう。
Taiwan Cultural Association の意味
ジャックが巻き込まれていく Taiwan Cultural Association は、名前が示す通り「文化」を軸にした活動を行う組織として描かれています。日本統治下という政治的な制約があるなかで、文化の力を通じて人びとの意識を変えようとする試みは、まさに文化的抵抗の象徴的な場面です。
政治的な対立や暴力的な衝突ではなく、文化活動や言論、学びを通じた抵抗の姿を描くことで、作品は「抵抗とは何か」「支配に対してどのように声を上げうるのか」という問いを、静かだが力強いかたちで提示しているように見えます。
2025年の私たちがこの作品から考えられること
2025年のいま、2014年公開の「Twa-Tiu-Tiann」を振り返ることは、単に一本の映画を語る以上の意味を持ちます。公開から約11年が経った現在も、日本統治と台湾の歴史、そして文化的抵抗というテーマは、国際ニュースやアジアの現代史を理解するうえで避けて通れない論点だからです。
タイムスリップが示す「歴史との距離」
タイムスリップという設定は、「歴史は過去のものではなく、いまの自分とつながっている」というメッセージを視覚的に示します。現代の若者が過去の時代に放り込まれる構図を通じて、作品は次のようなことを問いかけているように感じられます。
- 過去の出来事は、本当に自分と無関係なのか
- 過去の選択が、いまの社会や文化にどのような影響を与えているのか
- 未来の世代から見たとき、私たちの選択はどのように記憶されるのか
笑いと歴史を両立させる視点
植民地支配というテーマを扱うとき、重厚なドラマやドキュメンタリーの形式が選ばれることが多くあります。それに対して、「Twa-Tiu-Tiann」は light-hearted comedy、つまり軽やかなコメディであることが強調されています。
笑いを交えながら歴史を描くことには、次のような意義があります。
- 歴史に苦手意識を持つ人にも、物語として届きやすくなる
- 悲劇的な出来事のなかにも、人間らしいユーモアや日常が存在していたことを想像させる
- 「かわいそう」か「悪い」といった単純な二項対立ではなく、複雑な現実を多面的に捉えるきっかけになる
こうしたアプローチは、「歴史をどう語り継ぐか」という国際的な議論ともつながっています。重さだけではなく、ユーモアや日常の感覚を通じて歴史を考えることで、私たちは過去とよりしなやかに向き合うことができるのかもしれません。
「読みやすいのに考えさせられる」歴史との向き合い方
「Twa-Tiu-Tiann」は、現代の大学生ジャック、anti-colonial leader Chiang Wei-shui、そして Taiwan Cultural Association という要素を通じて、日本統治下の台湾における文化的抵抗を描き出しています。軽やかなコメディの形式でありながら、歴史、政治、アイデンティティといった重いテーマが背景に流れています。
国際ニュースやアジアの動きを日本語で追いかける私たちにとって、この作品が投げかける問いは決して過去のものではありません。歴史を知ることは、いまの社会を理解し、自分の立ち位置を考え直すことにつながります。
通勤時間やスキマ時間に触れた一本の物語が、家族や友人、職場での会話を変えることもあります。「Twa-Tiu-Tiann」を手がかりに、「日本統治」と「文化的抵抗」というテーマについて、静かに思いを巡らせてみることは、2025年の私たちにとっても意味のある時間になりそうです。
Reference(s):
Comedy spotlights Taiwan's cultural resistance to Japanese rule
cgtn.com








