国際ニュース:中国の自然保護区が回復傾向 野生生物と森林が示す「復活」の兆し video poster
中国生態環境省が実施した最新の現地評価で、中国の国家級自然保護区の多くで野生生物が増え、生態系が健全化していることが分かりました。生物多様性と気候変動対策の両面で注目したい国際ニュースです。
この評価は、自然保護区の保全状況を把握するために2022年に始まった全国調査の一環で、結果は最近の記者会見で公表されました。同省によると、評価対象となった保護区のうち、約99%が「強い保全効果」を示したとされています。
全国評価で見えた回復の全体像
具体的な数字を見ると、自然保護区の回復傾向がよりはっきり見えてきます。今回の評価では、各地の保護区に職員が足を運び、野生動物の数や森林・湿地の状態などを総合的に確認しました。
- 9割超の自然保護区で、重点保護種の個体数が増加
- 8割超の自然保護区で、生物量(ビオマス)と炭素貯蔵量が増加
- 多くの森林・湿地で、被覆率や自然状態の面積が拡大
生物量とは、生態系の中にどれだけ多くの生物が存在しているかを示す指標です。炭素貯蔵量は、森林や湿地がどれだけ二酸化炭素を吸収し、貯蔵しているかを表します。これらが増えているということは、自然保護区が生物多様性の保護だけでなく、地球温暖化の緩和にも貢献していることを意味します。
長江スナメリとキンシコウ:象徴的な2つの事例
今回の発表では、具体的な野生動物の回復事例も紹介されました。ひとつは、長江流域の淡水に生息する長江スナメリです。評価によると、安徽省と湖北省にある3つの自然保護区での長江スナメリの個体数は、これまでの192頭から269頭へと増えました。短期間での増加としては大きく、生息環境の改善や保護活動の効果がうかがえます。
また、湖北省の神農架自然保護区では、金色の体毛で知られるキンシコウの個体数が1,471頭から1,618頭に増加しました。森林を主な生活の場とするこの希少なサルが増えていることは、森林生態系そのものが安定しつつあるサインとも言えます。
長江スナメリでは以前の調査と比べておよそ4割の増加、キンシコウでは約1割の増加となります。数の面から見ても、保護区が希少種の「最後の砦」から「回復の拠点」へと役割を変えつつあることが分かります。
環境・気候の国際ニュースとしての意味
今回の結果は、中国国内だけの話ではありません。自然保護区の回復は、渡り鳥など国境をまたぐ生き物の保護や、地球規模での温室効果ガス削減にもつながります。国際社会が生物多様性の損失を食い止めようとする中で、中国の自然保護区が回復傾向にあるというニュースは、アジア全体の環境政策を考えるうえでも意味を持ちます。
また、生態系の健全性は、気候変動への適応力や災害リスクにも影響します。森林や湿地が保たれている地域では、洪水や干ばつに対する緩衝効果が期待されます。自然保護は、単に野生動物を守る取り組みではなく、地域社会の安全や経済活動の基盤を支えるインフラとも言えます。
日本の読者への問いかけ:何を学べるか
中国の事例は、日本の自然保護区づくりや評価の仕組みを見直すヒントにもなりそうです。特に次のような点は、日本にとっても参考になるでしょう。
- 保護区ごとに、野生生物や森林・湿地の状態を「数字」で継続的に追うしくみ
- 評価結果を社会に分かりやすく公表し、議論の土台とすること
- 気候変動対策と生物多様性保全を一体の政策として捉える視点
今回の評価は、中国生態環境省が主導する国家的な取り組みの一部ですが、そこから読み取れるのは「測り、可視化し、改善する」というシンプルなサイクルです。自然保護区が本当に機能しているのかを確かめることは、どの国や地域にとっても共通の課題と言えます。
中国の自然保護区で見られる回復の兆しは、アジア各地、そして日本の自然保護のあり方を考えるうえで、一つの重要な参照点になっていきそうです。
Reference(s):
China's nature reserves show strong recovery in new assessment
cgtn.com








