海南島国際映画祭でドイツ人制作陣が見た、中国映画観客の「熱さ」 video poster
第7回海南島国際映画祭で、ゴールデンココナッツ賞・最優秀物語映画部門にノミネートされた映画「Dry Leaf」が、中国の観客と海外の映画人の距離を一気に縮めました。
上映とその後のトークセッションの場で、CGTNの記者 Liu Mohan さんが、ドイツ人プロデューサーの Mariam Shatberashvili さんと Louise Hauschild さんに話を聞きました。ふたりが印象的だったと語るのは、「中国の観客の熱心な参加」と「多様で芸術性の高い映画に場を与える映画祭の力」です。
100本超の作品が集結 第7回海南島国際映画祭
2025年に開かれた第7回海南島国際映画祭では、100本を超える映画が上映されました。国や地域もジャンルもさまざまな作品が並ぶなかで、物語性の高い作品を対象とするゴールデンココナッツ賞・最優秀物語映画部門にノミネートされたのが「Dry Leaf」です。
作品の詳細な内容はまだ多く語られていませんが、国際映画祭のコンペティション部門に選ばれたことで、会場の期待と注目が自然と高まりました。観客はスクリーンに向き合うだけでなく、上映後のトークにも積極的に参加し、作品との距離を縮めていきました。
ドイツ人プロデューサーが驚いた、中国の観客の「参加する姿勢」
上映後、CGTNの Liu Mohan さんが行った対話のなかで、プロデューサーの Shatberashvili さんと Hauschild さんは、中国の観客が見せた「関与の深さ」に強い印象を受けたと振り返りました。
ふたりが目にしたのは、ただ静かに映画を消費する観客ではありませんでした。スクリーンに集中し、物語や映像の細部を受け止めたうえで、自分の言葉で作品に向き合おうとする姿です。
- 物語のテーマや登場人物の選択について、具体的な質問が飛ぶ
- 監督や制作陣の意図だけでなく、「自分はこう感じた」と感想を共有する
- 海外作品であっても、文化的な違いを越えて共感点を探そうとする
こうした反応は、海外から参加した制作陣にとって、「作品がスクリーンを離れて観客のなかで生き始める瞬間」を実感させるものだったといえます。Shatberashvili さんと Hauschild さんは、この集中力と好奇心に満ちた態度こそが、中国の観客の大きな強みだと感じたようです。
多様で芸術的な映画に「場」を与える映画祭の役割
ふたりが強調したもう一つのポイントが、「海南島国際映画祭のような場が、なぜ今も重要なのか」という点でした。巨大な配信サービスが普及し、世界中の映画を自宅で見られるようになった一方で、芸術性の高い作品や静かな物語は、商業的な基準だけでは埋もれやすくなっています。
そのなかで、国際映画祭は次のような役割を果たします。
- 劇場公開や大規模配信が難しい作品に、スクリーンで出会う機会を与える
- 監督やプロデューサーと観客が、直接対話できる場をつくる
- 異なる国や地域の観客が、同じ作品を前にどう反応するのかを見比べられる
Shatberashvili さんと Hauschild さんは、海南島国際映画祭のようなイベントがあるからこそ、「Dry Leaf」のような多様で芸術的な作品が、自分たちの観客を見つけることができると指摘しました。映画祭は、作品の価値を一方向に評価する場ではなく、作品・作り手・観客の三者が出会い、対話を重ねるためのプラットフォームだと言えます。
中国映画観客と世界の映画人、その交差点としての海南島
今回の対話は、中国の映画館に足を運ぶ観客と、海外から訪れた映画人が、同じ時間と空間を共有したからこそ生まれました。政治や経済のニュースだけでは見えてこない、文化の現場での「国際ニュース」が、スクリーンの前で静かに進行していたとも言えます。
中国の観客は、海外から持ち込まれた作品を、自分たちなりの視点で読み解きます。それに対して、ドイツなどヨーロッパから来た制作陣は、自国とは違う反応や質問を受けることで、作品の新しい側面に気づいていきます。この往復運動こそが、国際映画祭の醍醐味のひとつです。
日本の観客にとっても、「Dry Leaf」をめぐる今回のやりとりは示唆的です。作品を見終わったあとに、何を感じ、どんな質問を持ち帰るのか。自分の言葉で作品と向き合おうとする姿勢は、どの国の観客にも開かれた「映画の楽しみ方」だと言えるでしょう。
「読みやすい国際ニュース」としての映画祭レポート
newstomo.com が届けたい国際ニュースは、必ずしも政治交渉や経済指標だけではありません。海南島国際映画祭でのひとコマのように、映画館の暗闇で交わされる視線や言葉のなかにも、世界の変化やつながりが静かに表れています。
第7回海南島国際映画祭での「Dry Leaf」と中国の観客、そしてドイツ人プロデューサーの出会いは、芸術映画が今もなお国境を越えて人々をつなぐ力を持っていることを改めて示しました。次に映画館の席に座るとき、スクリーンの向こうにいる作り手と、自分のまわりにいる観客、その両方との「対話」を意識してみると、いつもの一本も少し違って見えてくるかもしれません。
Reference(s):
Golden Coconut nominees talk film and Chinese cinema audiences
cgtn.com








