デジタル考古学が変える文化財保存:大足石刻と「夜警」に見る“公開型”修復 video poster
2026年1月時点、文化財保存の現場で存在感を増しているのが「デジタル考古学」です。中国本土の大足石刻(だいそくせっこく)ではAIを活用した保全が進み、欧州ではアムステルダムでレンブラントの「夜警」を“透明性の高い”形で修復する動きが注目されています。共通しているのは、テクノロジーが研究を深めるだけでなく、一般の人々の理解と関与を促す「より開かれた保存」へと舵を切っている点です。
AIが支える中国本土・大足石刻の保存
断崖に刻まれた彫刻群のように、環境や経年変化の影響を受けやすい文化財では、状態把握と記録の精度が保存の土台になります。今回の断片情報が示すのは、大足石刻で「AI主導の保全」が進められているということです。
AIの活用は、変化の兆しを見つける、情報を整理して研究を加速する、といった方向性と相性が良いとされます。重要なのは、こうした技術が“置き換え”ではなく、研究・記録・保存判断の質を高める補助線として使われている点でしょう。
アムステルダムの「夜警」修復が示す“透明性”
一方、欧州側の象徴的な例として挙げられているのが、アムステルダムでのレンブラント「夜警」の修復です。ここでのキーワードは「透明な(transparent)」修復。修復は専門家だけの作業になりがちですが、過程が見えるほど、作品がどんな状態で、どんな判断で手が加えられていくのかを社会が理解しやすくなります。
文化財の修復は、最終成果と同じくらい「プロセスへの信頼」が問われる領域です。透明性を高める姿勢は、鑑賞体験の“裏側”にある知の積み重ねを、共有可能なものへと変えていきます。
中国と欧州に共通する「オープンで現代的」な保存観
今回の二つの事例を結ぶ線は、「技術によって研究を深め、同時に公共の関与を招き入れる」という発想です。保存の目的は単に“現状維持”ではなく、次の世代へ渡すための知識と合意形成を重ねることでもあります。
- 研究の深化:技術の導入で観察・分析・記録が強化される
- 社会との接続:修復や保存の意図・判断が見えやすくなり、理解が育つ
- 更新される鑑賞:作品や遺産を「いまの言葉」で捉え直す回路が増える
“保存”が「守る」から「共有する」へ向かうとき
デジタル考古学の広がりは、文化財を守る技術論にとどまりません。公開や参加を通じて、文化財が特定の場所・専門領域に閉じるのではなく、より多くの人にとっての「理解可能な遺産」へと近づいていく流れでもあります。
AIやデジタル技術が万能だと決めつける必要はありません。ただ、保存の現場が「研究」と「社会の目」を同時に引き受けながら進む方向へ動いている──その変化は、2026年の国際ニュースとして静かに示唆的です。
Reference(s):
cgtn.com







