オリーブオイルと金華ハム――土地・時間・規制が育てた食の遺産 video poster
2026年初頭のいま、食の世界では「伝統」と「国際市場」の距離が急速に縮まっています。南スペイン・アンダルシアのオリーブオイルと、中国本土・浙江省の金華ハムは、土地の条件と長い時間、そして規制(ルール)が食文化を形づくってきたことを静かに物語ります。
土地が“味の前提”を決める:アンダルシアと浙江省
伝統食はレシピだけではなく、どこで生まれ、どんな環境で受け継がれたかと切り離せません。アンダルシアのオリーブオイルも、浙江省の金華ハムも、地域の自然条件を前提に、作り手の知恵が積み重なってきた存在です。
「土地の条件に合わせる」という発想は、工業製品のように同じものを大量に作るロジックとは少し異なります。むしろ、地域差そのものが価値になり得るところが、こうした食の面白さでもあります。
時間がつくる“説得力”:伝統は急げない
オリーブオイルもハムも、最終的な品質は時間の使い方に大きく左右されます。収穫や仕込みのタイミング、保管・熟成といった工程は、単なる作業ではなく、地域の経験則が反映された「判断の連続」です。
現代のフードビジネスはスピードが重視されがちですが、こうした品目は「待つこと」そのものが品質の一部になります。そこに、何世代も続く食の遺産としての重みが出てきます。
規制(ルール)が守るもの、変えるもの
伝統食が現代の生産や流通に乗るほど、避けて通れないのが規制や基準です。衛生管理、表示、品質の定義など、ルールは消費者の安心を支える一方で、作り手の裁量や地域性の表現方法にも影響します。
- 守る側面:品質の下支え、信頼性、模倣品への対抗
- 変える側面:工程の標準化、コスト構造、伝統の「説明責任」の増加
つまり規制は、伝統を固定するものではなく、伝統を現代社会に通じる言葉へ翻訳する装置にもなり得ます。
ローカルの知恵は、現代の技術と対立しない
今回の2つの食品が示すのは、「伝統か、近代化か」という二者択一ではありません。地域の知恵は、現代の生産管理や流通の仕組みと組み合わさりながら、世界の市場とも関わり続けています。
たとえば、伝統的な考え方(土地の条件の読み取り、工程の判断)を残しつつ、現代的な要請(一定の品質説明、流通での再現性)にも応えていく――。その折り合いの付け方こそが、現在進行形の「食文化」だと言えます。
グローバル市場で問われるのは「何を残し、どう伝えるか」
世界市場では、わかりやすさ(規格、ブランド、ストーリー)が求められます。一方で、伝統食の価値は本来、地域の細部や揺らぎにも宿ります。オリーブオイルと金華ハムは、その両方を引き受けながら、土地・時間・ルールの間でバランスを取り続けているように見えます。
食が国境を越えて流通するほど、私たちは「味」だけでなく、その背後にある作り方の理由にも触れる機会が増えていきます。2026年の食のニュースを読むうえでも、こうした視点は静かに効いてきそうです。
Reference(s):
How olive oil and Jinhua ham embody centuries of food heritage
cgtn.com








