中国本土と英国をつなぐ紅茶文化:北京・上海で広がる英国式アフタヌーンティー video poster
2026年1月現在、紅茶は「飲み物」を超えて、中国本土と英国の距離をやわらかく縮める文化の接点として注目されています。17世紀に始まった茶の移動が、いまは逆方向の“ティータイム文化”として中国本土の都市生活に溶け込みつつあります。
17世紀、欧州に渡った「中国の紅茶」から物語は始まった
物語の起点は17世紀。オランダ商船が中国の紅茶をヨーロッパへ運び、やがて英国の日常に深く根づくきっかけになったとされています。ここから、同じ「茶」をめぐりながらも、二つの社会は異なる作法と美意識を育てていきました。
同じお茶でも、作法はここまで違う
茶文化の違いは、淹れ方と味の足し算に表れます。
- 中国本土:茶葉を湯で直接抽出し、香りや旨みをそのまま味わう「ピュア」な飲み方が伝統的とされます。
- 英国:砕いた茶葉をティーポットで淹れ、ミルクや砂糖を加えるスタイルが広まりました。柑橘の香りをまとわせたアールグレイなど、香味の設計も特徴です。
「素材を引き出す」方向と、「調合して整える」方向。同じ茶葉が、暮らしのリズムやもてなしの形まで変えていった、という見方もできそうです。
いま中国本土で人気の「英国式アフタヌーンティー」
近年、この交流は一周して戻ってきました。北京や上海など中国本土の大都市では、英国式アフタヌーンティーが社交・文化体験として定着しつつあります。高級ホテルや独立系のティールームでは、定番の要素を保ちながら、現地の感覚で再編集する動きが目立ちます。
- スコーン、ジャムなどのクラシックな組み合わせ
- 三段スタンドなど「儀式性」を感じる見せ方
- 中国本土の美意識やフレーバーを織り込んだアレンジ
結果として、英国の型をなぞるだけではない、新しい「都市のティータイム」になっている点が興味深いところです。
ドラマと料理番組が“作法”まで運んだ
背景には、映像コンテンツの影響もあるようです。たとえば、英国の生活文化を描く「Downton Abbey」や、焼き菓子と競技性を組み合わせた「The Great British Bake Off」といった番組が、ティータイムの食べ物や所作への関心を押し上げた、とされています。
モノ(茶葉)だけでなく、時間の使い方や会話の間合いといった“習慣”が一緒に輸入される――紅茶は、そんな文化移動のわかりやすい例なのかもしれません。
紅茶が「文化の橋」になるとき
茶は、政治や経済のように強い言葉を必要としない一方で、人の手つきや好み、もてなしの感覚を静かに映します。中国本土の伝統的な淹れ方と、英国のティータイムが、互いの都市空間で再解釈されていく流れは、「違い」が対立ではなく編集の素材になり得ることを示しているようにも見えます。
次にティーカップを手に取るとき、その香りの向こう側に、数世紀ぶんの往復運動がある――そんな想像が、日常の輪郭を少しだけ変えるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








