北京・Shichahaiで“抽象木彫り”が行列に——若者の消費が映す新しい価値観 video poster
2026年に入り、北京のShichahaiエリアで「抽象的すぎる木彫り」が若者を引き寄せ、行列ができるほどの注目を集めています。精巧さよりも“空気感”や“プロセス”が支持される——そんな消費の変化が、この小さな現場から見えてきます。
いま起きていること:リアルではないのに、なぜ売れる?
話題になっているのは、Shichahai周辺で制作するストリート木彫り職人の作品です。人気の理由は、写実的で上手いからではありません。むしろ、彫られた動物の形が「何の動物か分からないこともある」ほど抽象的である点が特徴だといいます。
それでも若者たちは、順番待ちをして制作を眺め、購入していきます。作品そのものだけでなく、その場で彫られていく過程を含めて“体験”として受け取られていることがうかがえます。
支持の背景:「正確さ」より「余白」と「共感」
今回の人気は、若い世代の消費嗜好が「実用性」や「精密さ」一辺倒ではなくなっている流れと重なります。断定は避けるべきですが、少なくともこの現象からは次のような要素が読み取れます。
- 自発性(スピontaneity):きっちり整い過ぎていない“勢い”が魅力になる
- くだけた感じ(インフォーマルさ):完成度よりも親しみやすさが前に出る
- 感情的な響き(エモーショナル):説明しきれない愛着や面白さが価値になる
「分からなさ」が、会話のタネになる
抽象的であるがゆえに、見る側は自然に想像を働かせます。「これは何に見える?」というやり取りは、買い物というより小さなコミュニケーションに近い体験です。作品の価値が“完成品のスペック”だけで決まらなくなるとき、こうした余白は強い引力になります。
モノ+時間:ゆっくりしたテンポへの惹かれ方
人気の核心は、木のフィギュアそのものに加えて、制作が進む時間の流れにもあるようです。落ち着いたペースで彫られていく様子、そして「開かれた」雰囲気——その場に立ち会えることが、都市の速度とは別のリズムを提供します。
短い動画や写真が日常的に共有されるいま、目の前で起きている制作の時間は、それ自体が“見ていたくなるコンテンツ”にもなります。
この先の注目点:流行で終わるのか、定着するのか
今回の現象は、中国本土の都市部で進む消費の多様化を映す一例としても興味深いものです。今後の焦点は、抽象的な作風が一過性の話題で終わるのか、それとも「プロセス込みで買う」感覚がより広い場面に広がっていくのか、という点でしょう。
精巧さや正解を競うより、肩の力が抜けた“良さ”を持ち帰る。そんな選び方が、静かに存在感を増しているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








