『Black Myth: Wukong』の神々は実在した——山西・玉皇廟の「二十八宿」を精密再現
ゲーム『Black Myth: Wukong』で出会う迫力ある神々の造形は、ゼロからの創作ではありません。中国本土の山西省にある玉皇廟(玉皇大帝廟)の塑像群「二十八宿」をもとに、元代の名品を精密に取り込み、デジタル空間に“生きた像”として再現したものだとされています。
ゲームの中の神々、その“原型”は700年級の塑像
今回注目されているのは、山西省晋城市にある玉皇廟に残る「二十八宿」の塑像です。二十八宿は、星宿(星の区分)を神格化した存在として知られ、寺観の中で独特の一群を成します。
『Black Myth: Wukong』では、この像群の鋭い表情や衣のひだの流れといった要素が、ゲームキャラクターの存在感に直結するかたちで活かされています。
“写し取る”ための3Dスキャン:表情と衣文のディテールまで
開発側は、玉皇廟の元代塑像を丁寧にスキャンし、デジタル上で再構成したとされています。肉感のある顔つき、緊張感のあるポーズ、風をはらむような衣の表現——静止したはずの塑像が、画面の中で動き出す感覚を生むのは、こうした高精度の取り込みが前提にあります。
文化財の「保存」と、創作の「再解釈」がぶつかりやすい領域ですが、少なくともこの事例は、古い造形の魅力を損なわないまま別の媒体へ橋渡しした例として語られています。
玉皇廟とは:道教建築の“層”を感じる場所
玉皇廟は、道教建築の宝庫として知られ、塑像や壁画などの文化財が豊富だとされています。建築の空気感と立体・絵画表現が同じ空間に折り重なることで、塑像が単体で置かれているのとは違う“場の説得力”が生まれます。
2026年のいま、この話題が広がる理由
2026年現在、ゲームや映像制作の現場で、実物の造形・建築をデジタル化して参照する流れは珍しくありません。ただ今回の話が刺さりやすいのは、「有名な題材を借りた」ではなく、特定の文化財(塑像群)を具体的にスキャンし、造形の核を移植したという点にあります。
- 文化財のデジタル化:細部を記録し、後世の参照可能性を広げる
- ゲームの表現力:質感や重みを“見せる”ことで、造形の価値を体験に変える
- 現地の再発見:画面で見たものの“元”が現実にある、という逆流の関心
デジタルは複製を容易にしますが、同時に「本物がある場所」「本物を守る現場」への視線も呼び込みます。作品世界の魅力が、文化財の価値を静かに照らし返す——そんな循環が生まれつつあるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








