13の民族が共生する街:西ザン・シガツェのコミュニティが示す「調和」の姿
西ザン自治区シガツェ市にある「ジャンルオカンサ・コミュニティ」では、13の異なる民族に属する1,500人以上の住民が共に暮らし、互いに支え合う日常を送っています。多様な文化が混ざり合い、調和して生きるこの地域のあり方は、現代における共生のひとつの形を提示しています。
「泥道」から「幸せの道」へ:生活環境の劇的な変化
このコミュニティに37年前、1988年に移住してきた回族の商人、マ・ガドンさんは、当時の街の様子を鮮明に覚えています。かつての道は歩くのも困難な泥道で、街灯もなく、家屋も古く老朽化していました。
しかし、30年以上が経過した現在、景色は一変しました。
- インフラの整備: すべての道路が滑らかなコンクリート舗装に変わり、街灯が設置されました。
- 公共スペースの拡充: 公共広場が整備され、住民が集うコミュニティ活動が活発に行われています。
マさんはここでチベット族の妻と家庭を築き、2人の子供を育て上げました。現在は民族衣装の卸売業を営んでおり、「近所の人たちはとても仲が良く、いつも助け合っている」と、この地での生活に深い愛着を抱いています。
日常の接点が育む、静かな信頼関係
コミュニティのもう一つの角にある美容室。店主のヤオ・シャオインさんは、20代でシガツェにやってきてから17年、この場所でハサミ一本からビジネスをスタートさせました。
彼女の店には、チベット族、漢族、回族など、さまざまな民族の客が訪れます。そこにあるのは、単なるサービスの提供ではなく、深い信頼に基づいた人間関係です。
「美味しいものを作れば近所の人に分けるし、逆に何か美味しいものをくれたら、私もお返しをする」とヤオさんは語ります。また、足腰が弱く店まで来られない高齢者がいれば、店を一時的に閉めて自宅まで訪問してカットを行うこともあるといいます。こうした日常の小さな気遣いが、住民同士の強い絆を形作っています。
文化が交差する豊かな時間
ジャンルオカンサ・コミュニティには、チベット族、漢族、回族、イ族など13の民族が暮らしており、文化的な交流を促進するための「孔子教室」も設けられています。
特に祝祭日の盛り上がりは格別です。
- 多様な祝祭の共有: チベット正月、春節、犠牲祭(イード・アル=アドハ)など、それぞれの民族の祭りを共に祝い、挨拶を交わします。
- 伝統芸能の交流: チベットの伝統舞踊「果荘(グォズァン)」を踊ったり、伝統楽器の「札朗(ドランイェン)」を奏でたりしながら、共に歌い、喜びを分かち合っています。
生活水準の向上と民族間の団結は、互いに影響し合いながら深まってきました。異なる背景を持つ人々が、日常という空間の中で自然に溶け合い、一つの大きなコミュニティとして機能している様子は、現代社会における共生のあり方を静かに物語っています。
Reference(s):
Residents of 13 ethnic groups build a happy home in Xizang's Xigaze
cgtn.com