COP29開幕 ルワンダが新たな気候資金目標と「損失と被害」支援を提唱
2025年の国連気候変動会議COP29がアゼルバイジャンのバクーで開幕し、気候資金(クライメート・ファイナンス)をめぐる新たな世界目標づくりが大きな焦点となっています。その中でルワンダは、「損失と被害」への支援を正式に組み込んだ新しい気候資金目標を求め、最も影響を受ける国々への安定した支援の必要性を強く訴えています。
COP29がバクーで開幕 200の国と地域が集結
今週開幕した第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)は、バクーに各国政府や市民社会、企業関係者など約200の国と地域の代表を集め、2週間にわたり開催されています。会議の狙いは、気候危機への取り組みを加速させるとともに、これまでの年1000億ドルの資金動員目標に代わる、新たな気候資金の世界目標を定めることです。
ルワンダが求める「損失と被害」まで含めた包括的な資金枠組み
ルワンダ環境省は声明で、新たな気候資金の世界目標には、温室効果ガス削減(緩和)や適応に加えて、「損失と被害」への支援を含めるべきだと強調しました。
声明は、「この呼びかけは、気候影響の影響を最も強く受けている国々が、回復し、より強靭なコミュニティを築くための一貫した支援を確保するうえで極めて重要だ」と述べています。ルワンダにとってCOP29では「損失と被害」が最優先事項とされ、気候災害の深刻な影響に直面する地域社会を支える持続的な資金の必要性が改めて打ち出されました。
「損失と被害」とは、洪水や干ばつなどの気候災害で生じる経済的損失だけでなく、住まいや生態系、文化など、元には戻せない被害への支援を指します。ルワンダの主張は、こうした現実に直面する脆弱な国やコミュニティの声を代弁する形となっています。
長期的なレジリエンスづくりへの投資を要請
ルワンダ環境省は同時に、「脆弱な国々が気候変動に適応し、レジリエンス(しなやかな回復力)を高めていくための長期的な解決策への投資」を呼びかけています。
これは、災害が起きてからの緊急支援だけでなく、
- インフラの強靭化
- 農業や水資源管理の改善
- 地域コミュニティの防災力向上
といった、将来の被害を減らすための仕組みに継続して資金を投入するべきだ、というメッセージでもあります。
「透明性」と「信頼」を重視するルワンダ代表団
ルワンダの代表団は、気候資金や各国の気候行動に関する「透明性」の重要性も強調しています。声明によると、ルワンダは、各国の間でやりとりされる支援について、より明確で正確な情報を共有することを求めています。
こうした透明性は、
- 約束された資金が実際に拠出されているかを確認する
- 支援が本当に脆弱な人々や国々に届いているかを検証する
- 各国間の信頼と説明責任(アカウンタビリティ)を高める
うえで不可欠だとされています。ルワンダはCOP29の場で、透明性強化に向けたルールづくりや仕組みの整備を後押ししていく方針です。
「借金を増やさない」形での資金支援を要望
ルワンダのポール・カガメ大統領は最近、気候変動対策に必要な資金について、富裕国からの拡大を求めつつ、その条件が途上国に新たな債務負担を押しつけるものであってはならないと指摘しました。
気候資金はしばしば「支援」と言われますが、その中身には、返済を求められる融資も含まれます。大統領の発言は、気候対策を進めるために借金を増やさざるを得ない状況から抜け出し、より有利な条件や、返済不要の資金の比率を高めるべきだという問題意識を示したものと言えます。
COP29で議論される新たな気候資金目標が、こうした懸念にどこまで応えるのかは、脆弱な国々にとって重要な争点となります。
新たな気候資金目標をめぐる駆け引き
今年のCOP29では、これまでの「年1000億ドル」という数値目標に代わる、新たな世界的な気候資金目標(ポスト1000億ドル目標)の策定が目的とされています。議論のポイントは、単に金額の多寡だけではありません。
注目される論点としては、例えば次のような点があります。
- 緩和・適応だけでなく、「損失と被害」への支援をどこまで明記するか
- 数年単位ではなく、より長期的で見通しの立つ目標や仕組みにできるか
- 拠出額だけでなく、資金の質(無償・低利・民間資金の動員など)をどう扱うか
- 支援の流れを可視化する透明性のルールをどこまで強化できるか
ルワンダの提案や問題提起は、こうした議論の方向性に影響を与える可能性があります。
COP29で私たちが注目したいポイント
日本を含む世界の読者にとって、COP29の複雑な交渉は遠い出来事のようにも見えますが、そこで決まる気候資金のルールは、今後のエネルギー政策やビジネス、そして日常生活にも影響し得るテーマです。今回のルワンダの動きから、次のような視点で会議を追ってみることができます。
- 新たな資金目標に「損失と被害」支援がどのような形で組み込まれるのか
- 脆弱な国々にとって、資金がどれだけ長期的で予測可能なものになるのか
- 支援の条件が、途上国の債務負担を増やさない仕組みになっているか
- 各国の気候資金拠出や実績を透明にするルールづくりが進むか
気候危機の影響は、洪水や干ばつ、熱波、農業や食料安全保障など、さまざまな形で世界各地に広がっています。COP29で交渉される気候資金の新ルールは、その負担と対応策を世界でどう分かち合うのかをめぐる議論でもあります。
バクーでの交渉は始まったばかりです。ルワンダをはじめとする脆弱な国々の声が、新たな気候資金目標にどこまで反映されるのか。会期後半に向けて、議論の行方が注目されます。
Reference(s):
Rwanda urges new climate finance global goal as COP29 begins
cgtn.com








