アジア太平洋の生物多様性ミッション:鳥からトラまで
アジア太平洋地域で進む「生物多様性ミッション」を、世界でもっとも危機的な絶滅危惧種の一つとされる鳥・spoon-billed sandpiperを手がかりに読み解きます。
アジア太平洋の生物多様性ミッションとは
アジア太平洋地域は、鳥類からトラ、霊長類まで多様な生きものが生息するエリアです。この地域の生物多様性を守ることは、地球規模の環境保全につながるため、各国や地域で保全の取り組みが進められています。
こうした流れは、アジア太平洋の「生物多様性ミッション」として語られることもあり、自然環境の保護と、地域社会の発展を両立させることが大きなテーマになっています。
世界でもっとも危機的な鳥の一つ、spoon-billed sandpiper
spoon-billed sandpiperは、愛称でSpoonieとも呼ばれる鳥で、世界でもっとも危機的な絶滅危惧種の一つとされています。個体数がごくわずかと考えられており、その存在そのものが、生物多様性の危機を象徴する存在になっています。
1種の鳥を守ることは、その鳥だけの問題ではありません。Spoonieを守るためには、えさ場となる湿地や干潟、休息する場所となる沿岸環境など、一連の生態系全体を守る必要があります。そのプロセスで、多くの鳥や魚、小さな生きものも一緒に守られることになります。
鳥からトラ、霊長類まで——アジア太平洋に広がる課題
アジア太平洋地域では、鳥類だけでなく、トラや霊長類など多くの大型哺乳類も、生息地の減少や環境の変化に直面しています。生物多様性の危機は、いくつかの共通した要因によって引き起こされています。
- 湿地や干潟の埋め立てによる渡り鳥のねぐらや休息地の消失
- 森林伐採や土地利用の変化によるトラや霊長類の生息地の分断
- 気候変動による気温や降水パターンの変化が生態系に与える影響
- 違法な狩猟や取引による個体数の急減
これらは別々の問題のように見えますが、実際には「どのような開発を選ぶのか」「資源をどう使うのか」という、人間社会全体の選択と深く結びついています。
現場で進むアジア太平洋の取り組み
アジア太平洋の生物多様性ミッションは、研究者や行政だけでなく、地域の人びとや市民団体など、さまざまな主体が関わる取り組みとして広がっています。具体的には次のような動きが見られます。
- 保護区や国立公園の指定・拡大による生息地の保全
- 破壊された湿地や森林を再生するプロジェクトの推進
- 野生動物の監視体制の強化や違法取引の取り締まり
- 地域コミュニティと連携したエコツーリズムや環境教育の実施
2025年現在、こうした取り組みはまだ道半ばですが、Spoonieのような象徴的な生きものの存在が、「守らなければ失われてしまう」という現実を具体的に伝える役割を果たしています。
私たちの暮らしとつながる生物多様性
生物多様性は、アジア太平洋のどこか遠い場所だけの話ではありません。気候の安定や食料の供給、きれいな水や空気など、私たちの日常生活も、多様な生きものが支える生態系の上に成り立っています。
例えば、次のような視点から、自分の生活と生物多様性の関係を考えることができます。
- 日々の消費行動が、どの地域の土地利用や資源利用につながっているのか
- 旅行やレジャーで訪れる自然が、どのような保全の仕組みに支えられているのか
- オンラインで目にする絶滅危惧種のニュースを、「遠い世界の話」で終わらせないために何ができるか
今日からできる小さなアクション
アジア太平洋の生物多様性ミッションは大きなテーマですが、私たち一人ひとりにもできることがあります。
- 生物多様性や環境に配慮した商品やサービスを選ぶ
- 信頼できる環境保全団体の活動を、寄付やボランティアで支える
- SNSで、生物多様性に関する記事や情報をシェアし、周りの人と話題にする
- 身近な自然に目を向け、季節ごとの生きものや風景の変化を意識してみる
spoon-billed sandpiperのような小さな鳥の物語は、アジア太平洋地域の生物多様性ミッションを、私たち一人ひとりの選択と結びつけて考えるための入口になります。2025年の今だからこそ、「何を守り、何を未来に手渡したいのか」を静かに問い直すタイミングと言えるのではないでしょうか。
Reference(s):
From birds to tigers, primates: Asia Pacific's biodiversity mission
cgtn.com








