COP29バクー会議で気候資金が迷走 1.3兆ドルと1000億ドルの溝
2024年、アゼルバイジャンのバクーで開かれた国連気候変動会議(COP29)は、気候資金をめぐる交渉が難航した会議として注目されました。本記事では、第1週の動きと各国の主張のギャップを振り返り、当時の国際交渉が示した課題を整理します。
COP29第1週で何が起きたのか
会議の第1週は、合意よりも雑音の方が大きかったとされます。最大の焦点である気候資金については、目に見える前進がほとんどありませんでした。
議論の中心は、裕福な国々が、化石燃料からの脱却や気候危機への対応に向けて、どれだけの資金を拠出するべきかという点でした。しかし、この問いに対する具体的な数字で、各国の立場は大きく割れたままでした。
資金は何に使われる想定か
COP29で議論された気候資金は、単なる環境対策費ではありません。各国が想定していた主な用途は次のようなものです。
- 化石燃料から再生可能エネルギーなどへの移行を進めること
- 海面上昇や気温上昇に備え、インフラや地域社会を守る対策を講じること
- すでに発生している気候関連の異常気象による被害の後片付けに必要な資金をまかなうこと
どの項目も、特に資金力の限られた国々にとっては、自前では賄いきれない重い負担となります。そのため、誰がどれだけ支払うのかが、交渉の核心になりました。
1.3兆ドルと1000億ドル 約1兆ドルの溝
気候資金の大枠となる数字をめぐっては、およそ1兆ドル規模の隔たりがありました。
Mercy Corpsの政策担当であるデビー・ヒリアー氏は、発展途上国はおおむね1.3兆ドルという金額でまとまっているように見えると指摘します。1.3兆ドルは上限ではなく、途上国側が必要だと考えている水準だということです。
一方で、ヒリアー氏によれば、米国とカナダは1000億ドルをフロア(最低ライン)として語り続けていました。ヒリアー氏は「一方の端には1000億ドルがあり、もう一方の端には1.3兆ドルがある」と述べ、その差の大きさを強調しました。この数字のギャップこそが、COP29第1週で実質的な合意が進まなかった大きな要因の一つといえます。
第2週に託された政治の出番
こうした中で、COP29の第1週は、合意形成という意味では助走にとどまりました。資金規模をめぐる根本的な対立は解けず、会議の流れは第2週に持ち越されました。
当時、第2週には各国の政府閣僚がバクーに集まり、難しい政治交渉に乗り出すことが期待されていました。第1週で積み上がらなかった合意案を、政治レベルでどこまで埋められるのかが焦点とされたのです。
いま、COP29の議論から考えたいこと
2025年のいま振り返ると、COP29の第1週は、気候変動対策が「お金の問題」としてどれほど難しいかを象徴する場面だったと言えます。海面上昇や気温上昇、そして極端な気象による被害が深刻さを増す中で、必要だとされる額は大きくなる一方です。
一方で、拠出側となる裕福な国々は、国内の財政や政治状況を踏まえながら、どこまで負担できるのかを慎重に見極めようとしています。この二つの現実のあいだにある1兆ドル規模の溝が、COP29でははっきりと可視化されました。
国際ニュースとしてのCOP29の議論は、日本語で世界の動きを知りたい私たちにとっても、決して遠い話ではありません。化石燃料からの移行や、気候災害から暮らしを守るための費用を誰がどのように負担するのか。その問いはこれからも続きます。バクーでの数字の攻防は、その出発点の一つだったと見ることができます。
Reference(s):
cgtn.com








